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2025年第1回定例会 本会議・第7号議案「令和7年度中野区一般会計予算」第9号議案「令和7年度中野区国民健康保険事業特別会計予算」に対する賛成討論:広川まさのり 2025/3/7 上程中の第7号議案「令和7年度中野区一般会計予算」に対して、日本共産党議員団の立場で賛成討論を行います。
2025年度予算は、「にぎわうまち 広がる安心 『発展』と『充実』の未来につなげる予算」として、計画に基づく政策及び施設整備、社会情勢を踏まえた区民生活を基軸に重点をおいたものとされています。
一般会計の当初予算額は前年度比54億4,100万円減の1,949億9,600万円となりました。歳入では、特別区税が399億8,927万円余で、前年度比37億2881万円増となります。また、特別区交付金も前年度比19億300万円増の473億円、株式等譲渡所得割交付金は3億円増の10億円といずれも過去最高額となるなど、想定以上の増収幅となります。年度末残高を200億円確保することに努めるとしている財政調整基金の年度間調整分は、2025年度は338億円を見込んでいます。各財政指標などからも、区の財政状況は好調であると考えます。一方で、長引く円安や物価高騰により生じる社会不安に向き合った積極的な施策の展開が求められます
以下、本議案に対する賛成理由を2点述べます。
第1に、区民のくらしに寄り添う事業が示されていることです。
今年度から始まった補聴器購入費助成の拡充とともに聴力検診の導入など、聴えに関する取組が前進します。複雑化•複合化した課題を抱える家庭への支援を強化するため、コミュニティソーシャルワーカーの配置や、孤独•孤立対策、物忘れ検診の充実に努める点は地域共生社会への取組として重要です。まちなかへのベンチ設置の推進、耐震改修助成の対象拡大、再生可能エネルギー・省エネルギー機器導入補助の拡充など、ハード面での取り組みについても評価します
第2に、子育て支援・子ども施策の充実に向けた事業の推進です。
老朽化した区立保育園・幼稚園、児童館等の改築・改修工事を計画的に行うことが示されました。病児保育事業やショートステイ事業、社会的擁護自立支援拠点事業、里親養育包括事業などが拡充されます。不登校対策や放課後等の様々な子どもの居場所づくり、常設プレーパークなどはさらなる展開を期待します。
区民の平均所得は上がっているものの、格差は拡大が懸念されます。区が低所得世帯向けの3万円給付について、世帯所得150万円未満の世帯を独自に給付金の支給対象としたことは評価すると同時に、約6万9,000世帯がその対象となり、実に区内全体の世帯の3割強に上っていることは深刻と考えます。さらに、2025年度は引き続き物価高騰への臨機応変な対策が求められます。本会議・一般質問において、区長は「食料品など生活必需品の高騰により生活が困窮している方もいるなど、支援が必要な方が数多くいるものと認識しており、今後も必要な対策を講じていきたいと考えている」と答弁されています。区民が安心して生活できる環境を充実させていくとともに、エアコン設置助成や給付型奨学金制度は新年度具体化されることが示されており、早期に実現することを求めます。
最後に、留意すべきと考える点を述べます。
まず、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画において、事業費の高騰から計画の見直しが行われています。工期の延期によって生じる維持管理費や固定資産税等が増加することや、区有地等の資産活用による転出補償が年度内に見込めなくなることなど、今後発生する新たな負担が区民サービス・施策に影響をおよぼすことのないよう求めます。中野駅周辺まちづくり全体への影響も大きく、区民からも多くの不安の声が寄せられており、適切な情報共有と対話をおこなうことを求めます。
次に、区内の介護事業者の実態把握と支援の必要性についてです。日本共産党議員団として区内403の介護の全業種事業者へ行った緊急実態調査では、回答のあった事業者の8割が経営状況を「とても苦しい」もしくは「苦しい」と答えています。以前からのコスト高や介護人材不足に加え、報酬減によるマイナスも積み上がり、経営はますます厳しい状況に置かれ、倒産・休廃業・解散が増加し続けることが想定されます。区として、事業者の実態を適切に把握するために緊急調査をおこなうべきと考えます。そして、その結果をもとに必要な支援策を早急に検討することを求め、第7号議案「令和7年度中野区一般会計予算」に対する賛成討論とします。
次に、第9号議案「令和7年度中野区国民健康保険事業特別会計予算」に対しての賛成討論を行います。
中野区国民健康保険運営協議会の答申に基づく2025年度の一人当たりの国民健康保険料は19万224円となり、このとおりに条例改正をした場合、前年度比で3,535円減となり、23年ぶりの引き下げとなります。一方で、一般会計からの繰入金を減らさなければ、さらに保険料を引き下げ、子どもの均等割の保険料を減免することも可能であると考えます。国民健康保険制度は低所得者の加入が多く、保険料の負担能力が低い上に、高齢化により医療費が高くなります。さらに社会保険適用拡大によって収入のある被保険者が減少するなど、構造的な課題は深刻な状況です。引き続き特別区長会等を通じて、都と国に対し抜本的な国民健康保険制度の見直しを行うよう強く要望していくべきと考えます。また、区としても独自に区内の被保険者の生活を守るための対策を求め、第9号議案「令和7年度中野区国民健康保険事業特別会計予算」に対する賛成討論とします。