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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

10.03

2024年 第3回定例会 本会議
認定第1号「令和5年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について」
認定第3号「令和5年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について」
に対する賛成討論:広川まさのり 2024/10/3

 上程中の「認定第1号 令和5年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について」及び「認定第3号 令和5年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について」に対して、日本共産党議員団の立場で賛成討論をおこないます。

 

 2023年度は、新型コロナウイルス感染症流行の4年目となる中、5月からは感染法上「5類」に引き下げられましたが、その後も感染拡大を繰り返しました。また、長引くウクライナ侵略など世界情勢が不安定になるもとで、原油価格や原材料費の高騰、「異次元の金融緩和」による異常円安が続き、中野区政にとっても、住民・事業者を守る「公」の役割が問われる年度でした。
 同時に、新庁舎移転を控える中で、基本計画の後期となり、実施計画の策定、重点プロジェクトの具体化をする年でもありました。

 

 2023年度一般会計の歳入決算総額は2,040億324万円余、歳出総額は1,986億7,292万円余で、前年度と比較し、歳入で20.3%増、歳出で22.4%増となり、実質収支額は34億8,672万円余の黒字でした。一般財源の歳入が増えた要因は特別区税や特別区交付金の伸びであり、特別区交付金は調整税等の増により、前年度比26億3,500万円余、5,9%増の473億3,600万円余となりました。財政運営の考え方が改められ、基金の活用と積立て等について新たな基準を設けての予算編成を行った年度でありましたが、積立てはほぼ当初の想定通り合計199億円余となり、年度末の基金残高は過去最高の799億円余となりました。その他、各財政指標などからも、区の財政状況は健全であったと考えられます。

 

 以下、賛成理由を3点述べます。
 第1に、物価高騰対策として、学校給食食材の一部公費による調達、商店街街路灯等の電気料助成基準の見直し、福祉タクシー・福祉ガソリン事業などが行われました。また、年度途中に第9次までの補正予算が組まれ、区独自に対象を拡大した価格高騰支援給付金や子育て世帯生活応援給付金、区立小中学校教材費補助、また、事業者支援として、私立の幼稚園や保育所等、民間学童クラブ、介護サービス事業所への補助など実施したことを評価します。年度後期に実施された区内小中学生の児童生徒の保護者に対する給食費相当額の給付は区立、私立、都立、国立等を問わず、すべての世帯を対象とする区独自の取り組みが行われました。

 

 第2に、重点プロジェクトに掲げた「子育て先進区の実現」に向けた取り組みとして、スクールソーシャルワーカー体制の強化、スクールロイヤーの配置、全小・中学校における放課後や夏季休業期間の学校図書室開放、小学校教員の負担軽減のための学級担任業務を補佐する職員の配置などに取り組んだことです。特に子どもの貧困対策として、学習支援事業の対象学年の拡大や子ども食堂を新たに開設する場合の施設整備費の拡充など既存事業の拡充、高校生等に係る医療費助成の実施、実質ひとり親家庭への支援強化に取り組まれたことは重要でした。

 

 第3に、困っているひとにやさしいまち、誰もが住み慣れた地域で自分らしく暮らすことのできるまちを目指す「地域包括ケア体制」において、支援を必要とする人への相談・コーディネート体制の充実ために、ヤングケアラーやひきこもり、認知症などの相談体制を強化したことです。また、補聴器購入費助成の実施に向けた検討が行われ、今年度の実施に繋がっています。引き続き、制度や支援を必要とする方の立場に寄り添った取り組みを期待します。

 

 最後に、来年度予算編成に向けて、改善・留意すべきと考えることを3つ述べます。

 

 1つに、建築資材の価格高騰や人件費の上昇などを受けて、全国で建設費が上がり続けています。中野区においても中野駅周辺の大規模再開発が進行中であり、区民負担の増や区民サービスの削減などに繋がることのないよう、強く求めます。今後の区有施設の整備・改修、まちづくり、インフラ工事などへの影響も懸念されるところであり、適切な事業費の算定に努めることを要望します。

 

 2つに、決算年度にかけての3年間で取り組まれた中野区構造改革実行プログラムにおいて、債権管理体制の強化を位置付けていました。「滞納情報が一元化されておらず、生活困窮と思われるなど福祉的要素がある滞納者や外国人への統一的なアプローチが十分に行えていない」という課題に対し、各所管で滞納情報を共有して一体的な支援を図ることを目指していました。3年にわたる取り組みで、一元化に向けた検討・体制の確立・体制の強化というスケジュールを示していたものの、結果として債権ごとの性質の違いや他区の状況等を理由に一元化を見送りました。当初の課題は解決していません。早期に生活再建型の債権管理体制を構築するために、一元化について組織の在り方も含めて再検討すべきと考えます

 

 3つに、区の税収は好調であるものの、長引く物価高騰の影響などで生活の苦しさが増しています。生活援護課が窓口となった生活相談は、コロナ禍を超える件数となっており、本会議において区長も「長引く物価高騰の影響で依然として苦しい生活を送っている方も数多くいる」という認識を示されています。先程触れた、物価高騰対策について、区の一般財源で対応したものは2億4,000万円余にとどまっています。新年度予算に向けて、区民、事業者を守る政策や展開を求めるとともに、国や都の動きを待つのではなく、区として積極的に独自の対策と財政支出に乗り出すべきと考えます。誰一人取り残さない区政を掲げる中野区が、「公」の役割を発揮することを求めます。

 

 次に、「認定第3号 令和5年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について」に対して討論を行います。
 国保特別会計で歳入決算総額は338億6,500万円余、前年度比12億4,000万円余、3,8%の増となり、国民健康保険料は87億4,000万円余、一人当たり1万1,000円以上という過去最高の値上げとなりました。物価高騰できびしい家計のやりくりを強いられている区民にとって大きな負担となっています。国が自治体独自の法定外繰入れの縮減を求める中、中野区が一般会計から法定外繰入れを行い保険料の負担を抑える努力をしていることは評価します。また、低所得層への軽減措置として、医療分と介護分について、特別区の賦課割合が所得割58対均等割42と定めているのに対して、区が独自に所得割60対均等割40としていることは重要です。これら負担軽減のための対策は継続することを求めます。
 2024年度、保険料は一人当たり1万3000円以上の値上げとなりました。国民健康保険制度の構造上の問題は危機的です。特別区長会は昨年11月、厚生労働大臣宛てに国保制度の見直しについての提言を提出しました。被保険者の低所得化や一人当たりの医療費増による保険料増は、個々の自治体の努力だけでは解決できないとして、国保財政基盤の強化、国庫負担割合の引き上げ実施で制度の維持を図るべきだと提起しています。また、低所得者の負担軽減や子どもの均等割額について、軽減対象を未就学児までとの制限を撤廃し、公費による軽減割合の拡大などを国に求めています。引き続き、国と東京都に対して、財政支援と構造的問題の解決を求めていくことを強く要望し、討論を終わります。

 


 

 

 

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