03.21
2024年 第1回定例会 本会議・第18号議案「財産の処分について」に対する賛成討論:羽鳥だいすけ 2024/3/21
ただいま上程されました第18号議案「財産の処分について」に対し、日本共産党議員団の立場で賛成討論を行います。
本議案は、中野区が所有する中野区本庁舎の建物26億4808万円のうち、4億5299万3千円を第1種市街地再開発事業における権利変換を行わず、転出補償金として受け取るものです。中野区役所・サンプラザ跡施設である中野四丁目新北口駅前地区の再開発の事業手続きの最終段階となります。この金額とともに、区は中野区の土地として40億9309万7千円、まちづくり中野21の土地・建物として354億5319万円を転出補償金として受け取るとともに、約260億円相当の権利床を得る予定です。
わが会派は、酒井区長が区長選公約として掲げていた「中野駅前再開発についていったん立ち止まり、区民参加で再検討する」という公約に従って検討を行ったこと、財産処分価格が不当な金額でないことから賛成をするものです。
同時に、中野四丁目新北口駅前地区再開発事業について、懸念される点について3点述べます。
第一は、この事業の検討の過程では当初提案の容積率が900%から1000%へ変更されたことや、総事業費が約1810億円から約2639億円に増加したこと、そしてそれに伴い、再開発ビルの中身の変更や当初は想定していなかった展望施設のあり方になるなど、報告のたびに変更があり、事業者優位に進められてきたのではないかという点です。中野区が中野駅前にどういった施設を作りたいかという確固とした信念を終始持てていなかったのではないでしょうか。
第二は、この財産処分や再整備が、どこまで区民のためになるのかという点です。区は、事務所部分に3階層分の権利床を所有し、マスターリースを行い、95%の床が借りられていることを想定し、年間で約7億円の収入が入ってくることを想定しています。しかし、人口減少やコロナ禍以降の働き方全体のあり方について大きな変化があり、今後のオフィス需要は減り続けます。オフィス需要の減少によってこの新しいビルの空室が増えた際、例えば、民間が運営するホールや事務所部分の経営がうまくいかず、区から何らかの形で区費を投入することは起こらないよう求めます。本事業が中野のまちと将来の区民にとって負担とならないよう求めます。
第三は、環境の側面です。当該地区の再開発事業の建物からは、中野区の民生業務部門の5%に相当する二酸化炭素が排出されると想定されています。中野区は2050年にゼロカーボンシティを達成するとの目標を掲げており、多量の二酸化炭素を排出する再開発事業のビルが中野区の目標達成の足を引っ張ることにもつながりかねません。今後、建物のエネルギー消費量の規制が厳しくなることは確実であり、先日発表された脱炭素ロードマップ(案)のまちづくりの全体方針の中でも、「エネルギーマネジメントについて導入の検討に努める」と示されたように、そうした規制にも柔軟に対応できる事業とするよう改めて求めます。
最後に、この事業で生み出される収益を、どう区民の福祉向上のために還元するかについて、例えば、ここでの収益を特定目的基金など誰一人取り残さない中野区のために活用することなども検討していただきたいと思います。
以上で本議案に対する討論とします。