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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

03.07

2024年 第1回定例会 本会議・第6号議案「令和6年度中野区一般会計予算」に対する賛成討論/第8号議案「令和6年度中野区国民健康保険事業特別会計予算」に対する反対討論:いさ哲郎 2024/3/7

 

 日本共産党議員団を代表し第6号議案「令和6年度 中野区一般会計予算」に賛成、第8号議案「令和6年度 中野区国民健康保険事業 特別会計予算」に反対の討論を行います。

 2024年度の予算規模は一般会計で2004億円余となり前年比48億円・2.5%増と過去最高となりました。主要な歳入のひとつである特別区民税は340億円余であり、前年比15億円余・4.2%の減となっていますが、これは国の定額減税による影響であり、相当額が国庫から充当されるため、特別民区税は前年比2億円増となる見込みです。
 納税義務者の平均所得が増加傾向であること、株式譲渡所得などによる還付金計上額が年々増加しているなど、可処分所得が増えている区民がいる一方で、生活保護相談者数は、昨年同月期を大幅に上回っており、経済的な不安や困窮を抱える方が増えつつあると区も認識しているとのことでした。また、国民健康保険執行停止件数は2019年度から2022年度で三倍以上の伸びとなっており、今年度においても1月末時点で約8000件と高止まりしています。国保滞納者において、支払いが困難と判断された方が増加していることを示しています。区民の中に経済格差が広がっていることを、こうした数字が裏付けています。
 財政指標はどれを見ても健全であることが示されています。こうした豊かな予算を、区民の願いに応えるために活かすことができるのかどうかが問われます。

 一般会計予算案に賛成する理由の第一は、「子育て先進区」がさらに前に進むことです。
 小中学校給食無償化について年度当初からの開始のための予算が示されました。区立以外の学齢期児童生徒においては現金給付で行うことを改めて要望します。学習支援事業推進が小学校4年生から対象となり、中学校3年生も拡充となります。常設プレーパーク設置に向けた試行実施、ひとり親家庭への住宅支援事業や高校入学支援金制度などの新規事業も予算に盛り込まれました。医療的ケア児対策としては、学校・学童クラブへの看護師配置や、通学バスへのガイドヘルパー派遣など、必要な支援を実施します。そのほか、児童養護施設退所者に対する支援、文化芸術を通じた子どもの健全育成事業など、幅広く子育てを支援する予算となっています。

 第二は、区民のくらしに寄りそう事業が示されていることです。
 長年の区民の皆さんの願いである高齢者補聴器購入費用助成が盛り込まれました。大いに評価するとともに、今後の事業実施の中でより充実させていくことを求めます。
 がん患者へのウィッグや胸部補正具の助成、ヤングケアラー支援の拡充、地域包括支援センターの相談体制の強化、外国人相談窓口の設置、失語症者向け意思疎通支援者派遣事業の拡充など、いずれも区民のくらしに直結し、区の掲げる人権と多様性のまちづくりを推進する施策となっており重要です。
 産業振興方針において個店の支援が明記さました。区内商店を守る積極的な事業展開を求めます。
 防災関連では、非木造住宅耐震改修等助成が盛り込まれたことも重要です。木密地域など防災上の課題を抱えた中野において、住宅の耐震化推進は喫緊の課題です。助成額の拡充、対象の拡大などの見直しが課題です。また、他自治体では新耐震基準の住宅耐震化助成も始まっており、より実情に見合った災害対策へとさらなる推進を求めます。債権管理については、課題の共有ができたことは諒としますが、区民のくらしを支える観点からスピード感のある事業推進が必要です。
 また、全体に、区民生活の水準を下げる方向での事業の見直しや削減が行われなかったことも評価いたします。

 課題を残した分野について指摘します。
 環境施策では、再生可能エネルギー及び省エネルギー機器等の導入に対する補助金や製品プラスチックの資源化事業メニューなどの予算の拡充をしたこと、保護指定樹木等樹木医診断などメニューを増やしたことは重要です。CO2排出削減のために脱炭素ロードマップを作製することは大事ですが、その目標の達成のために環境部が責任を持って事業を推進する必要があります。
 住宅施策では、公営住宅の果たす役割がますます重要になる中、長寿命化の計画が改定されていないなど、他自治体と比較しても不十分です。
 中野駅周辺まちづくりでは、オフィス需要の将来的な見通しが不透明であるなど、これまでのまちづくりのあり方そのものが通用しにくくなっている状況で、にぎわい一辺倒ではない、区民のくらしに資する公共のあり方が引き続き問われます。
 訪問介護事業のマイナス改定は、働き手の不足から事業所が廃業に追い込まれかねないなど、高齢者や高齢者を抱える世帯のくらしを直撃する事態として大きな懸念があります。制度の抜本的見直しを国に強く求めつつ、区としてできる努力を強める必要があります。
 いずれの事業においても、区民の立場に立ち、事業の本旨を鑑みることが肝要です。基礎自治体として、区民のくらし、区内事業者の生業に一層寄り添うことを求め、第6号議案に対する賛成討論とします。

 次に第8号議案 国民健康保険事業特別会計予算に反対の立場で討論を行います。
 国が法定外繰り入れの縮減を求めている中、保険料を抑える努力をしてきたことは評価します。しかし、今年度の国民健康保険料は13168円の値上です。これは過去最大の値上げであり、一人当たり国保料は194, 862円となっています。
 これまでも述べてきたように、国民健康保険は、加入者の多くが低所得であり、加入者自身で支えるという制度の構造そのものに限界がきています。経済の行き詰まりと物価高騰で所得の低い人ほど困難な生活を強いられています。区内の個人商店主や個人事業者は、インボイス制度でさらに苦しめられています。多くの国保加入者は生活が厳しくなる一方です。国保加入者の命とくらしを守る観点から、本予算は認められません。
 制度の構造上の問題については、引き続き区長会などを通じ、是正を求めていくことを重ねて要望し、第8号議案に対する反対討論とします。

 

 

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