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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

07.07

2023年第2回定例会 本会議 議員提出議案第10号「インボイス制度の実施延期を求める意見書」に対する賛成討論:武田やよい

 ただいま上程されました議員提出議案第10号「インボイス制度の実施延期を求める意見書」に対して、日本共産党議員団の立場で賛成討論いたします。

 

 インボイス制度は、税率変更を伴わない新たな消費税増税であり、売り上げが1000万円以下であることから消費税免税となっていた事業者を登録させることにより、実質的に課税業者とする制度です。登録をしない場合は契約相手から除外される、もしくは消費税分を上乗せした金額で契約を提示される可能性があるなど、収入が低い事業者に対し、どちらを選択しても負担が大きくなる逆進性の高い制度であり、税が果たす本来の役割の一つである「所得の再分配機能」に逆行するものです。

 

 この制度の導入について、出版・編集者業界内で行った意識調査では、約2割の方が「廃業を検討・廃業する」と回答しています。
 加えて、アニメ産業を支える、アニメーター・声優の方々も厳しい状況にあり、業界内調査では、廃業を考えている方が27%、多くが20代・30代の下積み世代の若手であることから、産業の未来を担う若手が育たず業界全体に甚大な影響があると報告されています。
これらの声のように、中小事業者、フリーランスの方々の中には廃業を考えるほど追い詰められた状況にある方が少なくありません。

 

 このことは、中野区の産業振興にも大きな影響があると考えられます。
 過日、インボイス制度についての区長答弁において「中小事業者が9割を超える中野区では影響は深刻」との認識が示されており、今定例会での区民委員会においても産業振興所管より「一定の影響があると考えている」との答弁がありました。
 同委員会で報告された「中野区産業振興方針(骨子)」の中では、中野区の産業の現状として「廃業数が創業数を上回っている」とあり、産業構成として「卸売り・小売業が最も多い」「アニメ・コンテンツ関連の仕事を手掛ける事業者が集積している」と報告されています。また、基本方針とその取り組みにも「中小企業の経営安定化」「アニメ・コンテンツ産業を生かす」ことが掲げられており、インボイス制度の打撃を最も深刻に受ける方たちが産業構成の中核であるといえます。
 先日の陳情趣旨説明では、陳情者から「廃業相談が30件程来ている」との話がありました。

 

 この地域経済の中核である事業者が深刻な打撃を受けることは、区が掲げた「中野の地域経済が健全に発展し、区民生活が向上している」との目標に大きな影響を与えるものと思われます。

 

 また、自営業やフリーランスの方が加入する国民年金について、全国の数字ではありますが保険料の全額免除・納付猶予者の推移をみると、コロナ前の2019年度は580万であった件数が、コロナ禍での経済の停滞などにより、2020年度に609万と1年で29万も増加しています。さらに状況はあまり改善されておらず、3年連続で600万台となり高止まりの状況となっています。国民年金保険料の免除・猶予は、後日、追加納付ができなければ、将来受け取る年金が減額されることになり、高齢期の生活困窮につながる恐れもあります。

 

 このような状況下で、今まで以上の負担を強いるインボイス制度の性急な実施は、中小事業者、フリーランスの方々の生活・生業を壊すことに直結し、将来の生活を不安にさせる要因となります。

 

 10月導入が迫る中、今年5月末現在で、全国500万ほどの免税事業者のうち、登録を行ったのは66万で1割程度であるとの報道もあり、このまま実施となれば混乱は必至です。
 直近では、杉並区・渋谷区・三鷹市で、インボイス制度の実施延期、慎重な検討を国に求める意見書が可決されています。

 

 区民生活を守り、誰一人取り残さない中野の実現、地域経済の健全な発展を進めるためにも、インボイス制度実施を延期し、制度自体を再検証することを求めることを要望し、賛成討論といたします。

 

意見書はこちらからご覧ください。

インボイス制度の実施延期を求める意見書

 

 

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