02.22
2023年 第1回定例会 本会議・一般質問 2022/2/15 いさ哲郎2023年区議会第1回定例において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。
■中野駅周辺まちづくりについて(7問)
最初に中野駅周辺まちづくりについてお聞きします。私たちは、まちづくりは住民合意が基本であると考えています。地権者、地域住民の想いをくみ上げ合意形成に努めること、これは住民の福祉向上を旨とする行政の責任です。
私は、昨年、今年と、2回にわたって中野駅周辺のまち歩き企画を実施しました。のべ60名近くの参加者の皆さんから揃って出てきた感想は、駅周辺まちづくりの全体像について「こんなことになっているとは知らなかった」ということです。昨年春に実施した地域アンケートでも、サンプラザの解体など中野駅周辺のまちづくりについて知らない・知りたいという声が多くの回答者から寄せられました。中野駅周辺まちづくりにおいて、区民の声、区民の想いは置き去りにされていないか、大きな懸念を持っています。
さて一昨年の質疑において、中野駅周辺まちづくりの中で夜間人口が1万4,000人増えるとの答弁がありました。人口が増えれば行政需要が増える、この対策をどうしていくのか、ということについて、まちづくりの計画そのものが進んでいることから改めてお聞きします。一般に駅周辺のような利便性の高い場所の住宅には子育ての世帯が多く住むものという想定がありますが、とある民間の新築マンションにおいては高齢者の居住が多かったところもあるようで、行政需要といっても予測は単純ではないことが伺えます。こうしたことを踏まえまとめてお聞きします。まちづくりの関連所管から、学校教育や子ども施設整備、高齢者や介護分野など他部署に対し、人口増についての情報提供はあったのでしょうか。(1) 保育分野では需要はどれだけになり、現状で受け入れるだけの保育定員はあるのでしょうか。(2) 高齢者や介護の分野では需要はどうなるでしょうか。(3)
小学校については長沢議員も質疑した通り、中野駅周辺では北は平和の森小、南は桃花小とどちらも教室不足が深刻です。前区政の時代に、その中間にある中野3丁目の桃ケ丘小学校が廃校になり売却されてしまいました。このことが中野駅周辺地域の教室不足の要因となったことは否めません。これから先については、廃校になった学校の安易な売却はしないこと、学校に戻すことも排除せず区民のために役立てる検討をすることを重ねて求めます。
駅周辺まちづくりに合わせて、北側・南側とも民間マンション等の建設がすでに始まっています。こうしたマンション等建設については建築課に建築確認申請の書類が来ており、把握はできるはずです。こうした民間の住宅ストック増についても需要増の要因として捉えておく必要があると考えますがいかがでしょうか。(4)
こうした中野駅周辺まちづくりによる人口増については、他部署に対して情報提供するにとどまらない、責任を負う担当が必要ではないでしょうか。つまり、人口の変化の動向をつかみ、施策へと返していくマネジメントを行うということです。中野駅周辺まちづくりを政策として推進する中野区には人口増を起因とする行政需要の変化に対応していく責任があると考えます。こうした責任ある部署・担当の設置について、要望しておきます。
エリアマネジメントについても伺います。区は将来の人口減少を理由に小中学校の統廃合を行ってきました。そうであるなら、当然中野駅のにぎわい・集客についても同様に人口減の影響があると考えるのが筋ではないでしょうか。区の中野駅周辺まちづくりの計画やエリアマネジメントについて、こうした社会情勢の変化を汲み取っていないのではないかとの疑念を持っています。長期化しているコロナ禍、物価高騰など経済の行き詰まりなど、直面している社会情勢を前提として、今からでも、駅周辺まちづくりの様々な施策について、修正できることは修正すべきではないかと考えます。閉会中委員会にて「中野駅周辺エリアマネジメントビジョンの検討状況について」が報告されていまが、このビジョンの検討にあたっては、そうした社会情勢の変化について議論されたでしょうか。また、この先の検討についてはいかがでしょうか。(5)
エリアマネジメントの議論では、協議会に区民が参加する仕組みをつくるべき、とも求めてきました。この間の区は、町会や商店会から選ばれた方が区民の代表だと説明してきましたが、今求められているのはそういうことではありません。現在実施している意見交換会やパブコメ以上の実態的な区民参加です。駅前の公共空間は、観光客だけのものではありません。とりわけ中野駅周辺は住宅街が近接していて近隣住民の生活の場ともなっています。そうした「生活の場としての公共空間」という考え方が、今のエリアマネジメントの議論から欠落しているのではないか、大きな懸念をもっています。この点は区はどう考えているでしょうか。(6)
質問の冒頭で述べたように、中野駅周辺まちづくりについては多くの区民に知られていません。従って、理解も納得も得られていないと考えるべきです。中野駅周辺はいうまでもなく区役所を擁する中野区の中心街区で、広く区民が利用する場所です。従って、エリアマネジメントの議論をするなら、全区民を巻き込むことと、そこから百出する意見も織り込むという努力が必要と考えます。改めて、エリアマネジメント協議会に区民が参加しその意見を反映させる具体的な仕組みを保障すべきと考えます。区の見解はいかがでしょうか。(7)
コロナに直面した2020年第2回定例会の質疑で、私は「地域循環型経済への転換」を求めました。観光客が中野区にお金を落とす式のいわゆるインバウンド型は、サンプラザ後継施設の完成など目玉施策の後の当面は通用するとして、限界があるのではないでしょうか。だからこそ、今中野区に住んでいる方が引き続き住み続けられるようにする、事業をしている方にもきちんと支援をして事業を継続できるようにする、そうやって区内で経済を回していけるようにしなければ持続的な発展はできないのではないでしょうか。これまで私が求めてきた家賃支援など住まいの問題も、個別の商店・事業者の支援も、同じ地面でつながっている議論です。区民の視点での「サステナブル」こそ求められていることを指摘しておきます。
■自転車利活用計画(素案)について(3問)
次に、自転車利活用計画(素案)について。現在、建設委員会には自転車利活用計画の素案が示されています。区内の自転車利用は少なくありません。区が重点を置くべき自転車政策は、子育て世帯の子どもの送り迎えや高齢者の買い物など、日常的な自転車利用者を中心にすべきと考え、折を見て質してきました。具体的な施策としては、中野駅周辺に小規模な一時利用の駐輪場を点在させる必要があると訴えてきました。中野駅周辺は空地の出にくい地域であることから、空き店舗なども活用の検討することや、民間企業や3セクを使って駐輪場を整備することも提案してきました。今回の計画素案にはそうしたこれまで指摘した改善点や提案が盛り込まれており、評価します。そこで伺います。こうした計画を推進するにあたり、需要の見込み予測と駐輪場設置場所のマッチングが必要ではないでしょうか。(1)
先に質問した中野駅周辺まちづくりの計画では、歩行者ネットワークの形成が示されていますが、自転車の利用は想定されていなかったのではないでしょうか。中野駅の南側は居住空間としての意味合いがより強い地域です。中野駅 南側地域にこそ自転車ラックなど民間の小規模駐輪施設を増やしていくことを具体的に検討すべきと考えますがいかがでしょうか。(2)
交通ルールについても伺います。建設委員会で報告された交通計画改定案では、中野区で自転車事故が多いこと、地域的な偏在があることが資料で示されています。衝突など事故未満の事象については地域の方から度々お話しを聞きます。昨年春に実施した私の地域アンケートでも中野駅周辺で怖い思いをしたという記述が、歩行者・自転車利用者の両方から出ています。先に質疑した中野駅周辺での人口増も、こうした事故や錯綜の増加に結び付くのではないかと懸念をしています。
道交法上、自転車は車両であるため原則車道を走行することになっていますが、車道の路側に駐車している車が多く通行の妨げになるなどの条件があれば自転車でも歩道を走行できることになっています。ただし徐行しなければいけません。こうしたルールが歩行者、自転車利用者とも充分に知られていないことから生まれるトラブルもあると考えます。今述べた、自転車が歩道を走行できる例外は、中野駅南北の中野通りだけでなく早稲田通りや大久保通りなど区内の多くの主要な道路で当てはまります。正しい交通ルールを知ることは事故を防ぐカナメです。自転車を利用しない歩行者も知っておくべきことです。区は現在でも交通ルールの周知をしているとのことですが、まだ不十分な面があり、これまで以上の取り組みが求められています。この点の認識はいかがでしょうか。(3)
■介護保険制度について(4問)
介護保険制度について伺います。2020年に、国立長寿医療研究センターなどのグループにより、新型コロナウイルスによる生活環境の変化が高齢者の健康に与える影響について調査が行われています。この1年間でフレイルの状態になった人は全体のおよそ16%とのことです。外出や知人と会う機会が減るなど生活環境が変わったことが影響している可能性が指摘されています。また、1人暮らしで社会活動が少ない人ではフレイルになるリスクがおよそ2倍に上がっていたそうです。同様の結果は、ニッセイ基礎研究所の2021年12月インターネット調査でも示されていおり、コロナ感染拡大の長期化が、高齢者の心身機能低下や精神面の不調につながり、フレイルや要介護状態を引き起こす恐れがあると指摘されています。
このようなことは中野区でも起きていると考えるべきです。介護認定更新の際に、重度化した利用者が増えているのではないかと考えられますが、区の認識を伺います。(1)
また、現在は介護認定されていない高齢者においても、フレイルにより今後介護認定に至るようなケースも増えるのではと予想できます。この点の認識はいかがでしょうか。(2)
フレイル予防は外出を控えている高齢者にとって喫緊の課題です。区はこれまでも様々なフレイル予防の取り組みを行っていますが、外出を伴わない取り組みを強化することを改めて求めるとともに、コロナ禍に起因するフレイルと介護度の重症化について調査し対策を取ることを要望し、次の質問にうつります。
■保育施策について(3問)
保育施策について。今年度も私立保育園園長会から様々な要望が提出されました。子育て先進区を前に進めるにあたり重要な課題であることからお聞きします。
コロナの影響で、入園を控える状況があり全国的に定員割れが生じているとのことです。欠員が出ることによる収入減は小さくありません。とりわけ0歳児では1名欠員で40万円以上の減収となり、園によっては年間では800万円以上の減額となっている実例があるとのお話しもありました。こうした定員割れについては、小規模保育事業者については支援策があります。小規模事業者以外にも同様の支援が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか。(1)
宿舎借り上げ制度の継続と拡充についても要望がありました。職員の確保し保育の質を担保するためにも借り上げの範囲の拡大や、他区ですでに実施されている自治体による上乗せも必須ではないでしょうか。また1/8の事業者負担についても廃止の要望があります。まとめて伺います(2)。
この間私のところには、小規模園から、減収の支援制度のあってもなお定員割れで経営が厳しいとのご相談が複数きています。区内には小規模保育や家庭的保育などの事業者も少なくなく、それぞれの実情に見合った支援が求められています。事業者の声をしっかり聞き取り、事業継続のための手立てをとっていく必要があるのではないでしょうか、伺います。(3)
■桃園橋親柱の保存と桃園川緑道の改善について(3問)
桃園橋親柱の保存と桃園川緑道の改善について伺います。最初に桃園橋親柱の保存活用について。前回の質疑で、桃園川緑道の一部をリニューアルしその場所で親柱を保存活用する案を提示しましたが、これは都市公園法の上では難しいとの答弁でした。
神田川沿い、中野新橋駅近くの「なかしん広場」という公園には、かつての中野新橋の親柱の上部「唐金の擬宝珠(からかねのぎぼし)」が設置されています。なかしん広場はポケットパークであり、都市公園法の定める公園には相当しないため、法令に縛られない施設の設置が可能とのことですが、公園という公共施設に歴史的遺構として橋梁の親柱を設置し保存活用するというのは自然な考え方だということだということが示されていると思います。住民の会から、親柱はそのままに保存と活用をして欲しいと要望があったこと、地域の中で保存を望む声は小さくないことは昨年の質疑でも述べています。引き続き、親柱の保存活用についてどのような手法があるのか検討を続けていただきたいと最初に要望しておきます。
親柱については、未だ東京都が管理をしているとのことです。しかし既に一定の期間に渡っていることから、区有地を探して東京都から引き取り、当面の保存をすべきと考えます。区の認識はいかがでしょうか。(1) また、保管できる区有地を見つけるまでに時間を要する可能性もあるので、東京都に対しては今しばらく保管を続けてもらうよう要請することも必要ではないでしょうか。併せて伺います。(2)
つづいて桃園川緑道についても伺います。桃園川緑道はそろそろ全面的なリニューアルを検討すべき時期ではないでしょうか。2018年4定での私の桃園川緑道の質問に対し区長は、「時代とともに当時の整備の考え方と要望も変わってきており、老朽化により施設の破損等もある」と答弁されています。桃園川緑道の工事は1985年から93年にかけて行われており、古いところでは38年が経過していることになります。破損といっても、床面のタイルの剥がれや道路との交差部の鉄製の手すりの錆など、見た目以上に安全性に問題が生じています。その道路との交差部にある鉄柵は、車いすの通行ができないことなども質してきました。区長が指摘したように、整備された当時と時代的にも合わない部分も出てきているのではないでしょうか。破損個所の部分的補修をするのでなく、思い切った全面的なリニューアルは避けがたいと考えます。区の認識を伺います。(3)
大和公園の改修の際には、住民参加によるワークショップが開催されました。桃園川緑道のリニューアルの際にも住民参加方式で検討いただきたいことを要望しておきます。
■地域猫共生推進員制度について(4問)
最後の項目です。1月24日の厚生委員会にて、「地域猫共生推進員制度の導入について」という報告がありました。これについて伺います。これまで私は地域課題として何度も地域猫問題を取り上げ、個人でも不妊去勢手術など必要な支援を受けられるように改善すべきと訴えてきました。厚生委員会で報告されたこの新しい制度では個人への助成が実現することから、大いに評価します。今後の具体的な施策展開に期待し、質問いたします。
区内には、自費で猫を捕獲し不妊去勢手術を行う個人単位のボランティアが沢山います。制度の周知については、厚生委員会にて「区報と区ホームページで」と報告されていますが、それだけでは足りないのではないでしょうか。町会にも協力してもらい、お知らせ板などでもう一回り周知を広げることは検討できないでしょうか。(1)
近隣で猫を巡るトラブルになったことも少なくありません。猫が嫌いな方が110番通報をして警官が来るような事態にも遭遇しています。こうしたトラブルの際には、ボランティアまかせにせず、区が間に入って調停するような仕組みについても検討の必要があると思いますがいかがでしょうか。(2)
また、支援の内容や手続きなど、制度設計にも当事者に加わってもらうべきと考えます。区の認識はいかがでしょうか。(3)
耳カットの現状についても伺います。地域猫かどうかを耳カットで判断する、ということは一般的になっています。この耳カットは獣医師会でも推奨されているはずですが、きちんと実行されているか、把握はしているでしょうか。(4)
この数年の間に、地域の猫そのものが減っています。これは、主には、長年に渡り、自腹を割いて不妊去勢手術を続けてきた区内ボランティアの皆さんの成果です。これは忘れてはいけないことです。区民に対しこの制度の理解を求める努力を続けていくことを求めて全ての質問を終わります。