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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

11.27

2022年 第4回定例会 本会議・一般質問 2022/11/27 小杉一男

 2022年第4回定例会本会議において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。質問内容は通告通りです。その他の項はございません。

 

 1. 区民の暮らしと営業を守る施策について
 9年間も続く異次元の金融緩和政策によって経済が停滞しています。緩和マネーは株式市場に流れ、富裕層や大企業はもうけたものの、実体経済には流れませんでした。加えて円安で輸出大企業は設けましたが、賃金は上がらず、格差は拡大するばかりです。いま、電気やガス、食料品など日常生活品が上昇する中で、消費税減税を行う国は90か国以上にもなっています。政府に決断を求めたいと思います。
 政府は来年10月から消費税インボイス(適格請求書)制度を実施しようとしています。区内の事業者の大半を占める小零細事業者、商店や飲食店、フリーランス、建築現場の一人親方など、年間売り上げ1000万円以下の事業者に納税義務を負わせ、経済的、事務的負担増を強いるものです。財務省は161万事業所に影響し、一事業者当たり15万4千円の負担増で、合計2480億円の増税になるとしています。影響する人数はなんと1000万人を超えます。
 ある事業者は、コロナ禍で現在は何とか持ちこたえているが、試算をしたら年間25万円~30万円の支払いが新たに発生し、事業継続が困難となると言われていました。そうした個人事業者に課税業者になるよう迫り、なけなしの収入なのに負担を強いるもので、極めて現実を見ない制度で、混乱は計り知れないものです。消費税の免税制度は所得税の基礎控除のようなものであり、インボイス導入は生存権への侵害に当たるものです。
 ◆仮にインボイスの導入された場合、区内事業者への影響がどれほどのものになるのと認識していますか。
 10月に総務省は、地方自治体の競争入札において、インボイスに関する入札参加資格を定めることについて、「免税事業者を競争入札に参加させない資格を定めることは適当ではない」と通知しました。しかし、免税事業者を課税事業者に誘導する事例が出てきています。
 ◆区が関わる競争入札において免税事業者が実質的に排除されないように配慮すべきと考えますが、区としてのご見解を伺います。
 10月20日、中野区は「インボイス制度が始まります」とのサイトを設けました。そこには「インボイス発行事業者になるためには、必ず来年3月末までに登録申請書を提出し、事前の登録を受ける必要があります。登録をお考えの事業者の方におかれましては、お早めにご準備ください」と記載しています。これではよく理解していない方にとっては、インボイスへ誘導しているとも取れます。
 ◆同サイトには免税事業者は継続できること、利点欠点を踏まえて判断することを明示すべきではないでしょうか。
 シルバー人材センター会員にも消費税の納税が発生し、年間40万円~50万円程度の報酬から、4、5万円ほどの負担増となります。厚労省は、シルバー人材センター会員はインボイス制度導入で最低賃金を下回ってしまう可能性があるので、自治体として価格転嫁をして、適正な価格設定をするよう通知をしています。
 ◆シルバー人材センターでは、インボイス制度導入による減収の影響を出さないよう補助金を増額するべきではないでしょうか
 区との随意契約においては配慮すべきとなっているわけです。港区では「それぞれの実情に応じた適切な対応ができるよう、専門家による無料相談ブースを設置するとともに、税務署との連携による課税事業者・免税事業者双方に向けた説明会」を開催しています。
 ◆免税事業者全般への支援を実施すべきではないでしょうか。
 11月16日にインボイス制度の問題点を検討する超党派の国会議員連盟が設立されました。ヒアリングを受けた、インボイスを憂慮する声優らが立ち上げた団体「VOICTION」の甲斐田裕子さんは「日本の文化の未来が立ち消えてしまう」「実態調査のアンケートで文化事業に携わる4団体(声優、アニメ、演劇、漫画)すべてでおよそ半数以上が年収300万円以下、2割の人が廃業を検討している」と訴えました。そうした切実な実情が区内でも広がっています。倒産や廃業に追い込まれる事業者が多く出るなど影響は計り知れません。
 ◆区は国に対しインボイス制度の実施中止を求めるべきではないでしょうか。
 消費税インボイス制度は中止をするしかないことを訴えて、この項を終えます。

 

 2. 新型コロナウイルス感染症への対策について
 新型コロナ感染者の1週間平均値は上昇し続けています。
 政府は入国者数の上限を撤廃するなど、新型コロナ対策の緩和を進めました。8月末には感染者の「全数把握」を見直す方針を明らかにしました。感染症法で医療機関に新規感染者の発生届を提出することを義務付けていますが、自治体の判断で「発生届」が必要とする対象を、高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにしました。65歳以上の方や基礎疾患のある方、妊娠している方などだけの医療機関への受診を想定し、それ以外の方は抗原検査キットを申し込み、自己検査を行い、陽性の疑いとなれば、東京都陽性者登録センターへWEB申請をする仕組みになりました。
 9月から「新型コロナウイルス感染症に関する相談の流れ」が変更になったことを知らずにいる方が多いと思います。
 ◆「相談の流れ」のチャート図をホームページに留まらず、区報にも掲載するべきではないでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症を疑う症状が出た場合でも、安易に放置をし、感染を拡大させている状況もあると思われます。医療機関受診による「発生届」提出もしくは陽性者登録センターへの登録を行わない場合も相当数おられると思います。自宅療養中に体調が悪化しても気付きにくくなるなどの懸念もされています。
 ◆今後の新型コロナ感染症の感染拡大抑制のためにどのような取り組みに力を入れようとしていますか。
 新型コロナウイルス感染拡大により、失業や休業・時短などで、生活困難に陥った方に対し、20年3月から国が社会福祉協議会を通じて生活費として上限20万円の緊急小口資金と上限60万円の総合支援資金の貸付を行いました。これらは全国で776億円、9万件の貸付となり、急場をしのぐ役割を果たしました。
 来年1月から償還が始まります。昨年度が「住民税非課税」でなくても、今年度非課税相当になり、返還することで生活が破綻してしまう場合もあると思われます。また、世帯単位の判定となるのも分かりにくく、混乱を生んでいます。
 ◆区としても償還免除の仕組みについて周知を図るべきではないでしょうか。
 「第8波」になっても、入院できずに死亡者がでないようあらゆる努力を求め、この項を終えます。

 

  3. 子ども・子育ての施策について

  ① 子どもの権利について
 区は国連で子どもの権利条約が採択された月日である11月20日に「子どもの権利の日フォーラムなかの2022」を開催しました。私はオンラインで参加しました。
 当日はハイティーン会議で活動する中高生らが、関わったきっかけや取り組みの内容、大人への意見を発言しました。私は子どもの意見を聞くのはとても難しいことだなと感じました。公な場で意見をいうのは大人でも大変ですし、度胸のいることです。「不登校児童・生徒が学習できる場を作りたい」「区民の交流サイトを創設したい」など、積極的な意見があり、本気の意見だなと感心しました。
 しかし、彼らに家庭や学校の大人は本気で耳を貸してきたのか、同じように考えても言えずにいる子どもがもっといるのではないかなどと、どれだけどのような形で意見を聞いていく場を作っていくことができるのか課題であると感じました。
 一方で、こうした子どもたちからの意見を聞いた後で、大人がどう実現をさせていくのか、解決の方法も示していく必要があります。子どもに「ただ聞いただけだ」と大人が示すだけならばもう二度と言うことはなくなります。子どもの意見表明と参加について大人もしっかりと受け止めなければなりません。
 ◆子どもの意見表明と参加の今後の展開について、どのように考えていますか。
 9月に「子ども相談室」が開設され、学校を通じて案内をしたそうです。相談件数が9件でした。
 せたがやホッと子どもサポートは開設して9年が経過しますが、開設当時は学校からも認知されておらず苦労したそうです。2021年度は新規相談300件、継続相談66件、延べ相談回数1150回だそうです。区民や児童生徒に周知を重ね、現在では子どもの間でも定着しているそうです。
 初回の相談方法は電話が最も多く、次にメールだそうです。昨年からはがき相談も開始し、37%がハガキによる相談となりました。より相談しやすい工夫が必要だと思います。保護者にも認知度を高めることが必要で、定期的なニュースの発行なども相談への呼び水となります。区においても子どもの気持ちがわかる、楽しい広報・啓発活動にも力を入れてほしいです。
 ◆今後の相談方法の工夫や広報・啓発活動の強化についてどのように考えていますか。

 

 ② 教育費の負担について
 日本政策金融公庫によると、入学費用は高校年間36万円、大学89万円、在学費用は高校69万円、大学157万円もの費用がかかっており、家庭の大きな負担となっています。20年度から高等教育の修学支援制度ができ、住民税非課税世帯など低所得世帯のみ給付型奨学金と学費の減免が行われています。しかし、貸与型に比べてまだまだ少ないのが現状、大部分の生徒・学生は貸与型奨学金を利用しています。
 足立区では、奨学金の貸付を受けているまたは受ける予定の方に対して、学校を正規の修業年数で卒業後、10年以内に区に住民税を2年度分以上納税したあと、奨学金の借入総額の半額(上限100万円)を助成する事業を実施します。
 19年に労働者福祉中央協議会が実施した調査によると、平均の借入総額は324万円で、借入総額500万円以上という利用者も12.4%と1割以上を占めています。返済が「苦しい」と感じている人が正規雇用で4割、非正規雇用で6割弱です。経済面で不安を覚える人が増えている昨今、月々の返還金が生活を大きく圧迫していると感じる人は半数に達しています。
 学校卒業後多額の借金を背負って社会人となる日本は異常です。国の給付型奨学金の枠を広げることが基本ですが、自治体からのこうした支援策は当面、大変喜ばれることだと考えます。
 ◆高校・大学の奨学金返済支援制度をつくるべきではないか。
 大学や専修学校の学費が高すぎるのが学生やその保護者の実感です。学費が国立大学でも年間54万円で、私立大学でも平均年93万円にも上り、多くの学校で学生がアルバイトや奨学金頼みで保護者の負担も限界です。入学金は他の先進国にはない独特の制度です。私立大学で平均26万円、国立大学で28万円と高額です。
 ◆受験校選択や進学の足かせとなる入学金はなくすよう、国に求めるべきではないか。

 

  ③ 学校給食費とその質の向上について
 第3回定例会において、「学校給食の無償化を求める意見書」を中野区議会として全会一致で可決し、国会及び国へ送付しました。「義務教育は無償とする」と憲法などにより、授業料を徴収しないこととされ、当初は自己負担が求められていた教科書についても教科書無償措置法等により無償化されました。食育という教育を行うのに必要不可欠である学校給食費についても、義務教育段階においては教科書と同様に無償化することが必要です。
 原油価格や物価の高騰による給食の値上がりを踏まえて、給食物資代金の一部を区が支払い保護者負担の軽減を図られました。こうした緊急の対応として評価いたします。
 ◆引き続き、緊急対策として保護者負担の軽減を行う対応に努めるべきではないでしょうか。
 全国の調査結果によると、1740自治体のうち、何らかのかたちで無償化や一部補助を実施しているのは506自治体です。そのうち小中学校ともに無償化しているのは76自治体であり、青森県や葛飾区など新たに実施を決めた自治体も出てきています。
 今年の第1回定例議会では、世田谷区が就学援助世帯の対象基準を学校給食費の費目のみ生活保護基準の2.06倍に拡大させ、児童生徒の3割に広げた事例を紹介しました。
 都内では北区や足立区で第2子を半額、第3子以降を無料としたり、江戸川区と品川区で第3子以降を無料としたり、多子世帯への支援が始まっています。子どもの育つ環境を改善し、貧困や格差を少なくするために、学校給食の無償化を行っていく必要があると考えます。まずは多子世帯への支援から始めるべきではないでしょうか。
 ◆学校給食費の無償化を見通しながら、まずは多子世帯からの一部助成を始めることを検討すべきではないでしょうか。
 この夏に、玄米和食の給食と子どもたちによる本物の味噌づくりを行う福岡市・高取保育園を舞台にしたドキュメンタリー映画「いただきます‐みそをつくるこどもたち」を拝見しました。肥料を使わない豊かな土壌は、食物にミネラルなどの栄養を与え、手作りの発酵食は健康の要である腸内環境を整える。こうした先進事例に背中を押され、有機や自然栽培の食材を取り入れた「オーガニック給食」の導入が注目されています。
 ◆「オーガニック給食」のメリットについてどのように認識していますか。
 武蔵野市は「低農薬・無農薬・有機栽培の米と野菜」などの「有機給食」を実施しています。こうした「安全給食」の実施のきっかけは2003年頃に給食の民間委託が導入されようとしたときに「このままでは安全給食の維持ができない」と危機を感じた関係者が日本一の給食にしようと奮闘されたそうです。
 中野区の「学校給食献立作成方針」によると、生鮮食品は「原則国産」、それ以外は「可能な限り国産」を選ぶことになっています。学校給食に無農薬・有機の食材料を使用することで、次代を担う子どもたちにより安全・安心な食事を与えることになります。
 ◆有機給食を実施している自治体の事例を参考に、食材の調達先の確保や財政収支、残留農薬検査の実施など研究・検討すべきではないでしょうか。
 安心安全な子育て環境の整備や保護者などの負担軽減を求め、この項を終えます。

 

 4. 中野区自殺対策計画の改定について
 11月、自殺総合対策大綱の見直しが閣議決定しました。中野区では、地域自殺対策計画の改定に向けて、自殺対策審議会で審査を進めています。
 新大綱では「自殺は、その多くが追い込まれた末の死である」とし、「過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤独・孤立などのさまざまな社会的要因がある」としています。自殺対策は「生きることの阻害要因」を減らし、「生きることの促進要因」を増やすことにあります。区の関連事業の実績調査でも「『死ぬ』という言葉の敷居が低くなっている印象がある」との状況が触れられています。
 新大綱下での目標は2015年比で30%以上を減少させ、15年10万人対で20.5人を28年14.4人に減少させます。
 区内では19年から20年で自殺死亡率が倍増し、20年から女性の自殺死亡者が急増しました。全国的にも同様の傾向があり、新大綱でも重点施策に「女性の自殺対策をさらに推進する」と加えられました。同審議会の中でも「女性特有の問題があり、効果的なアプローチ」が求められているとしています。
 ◆女性自殺の増加についてどのように認識していますか。また「効果的なアプローチ」についてどのような検討をしようと考えていますか。
 NPO自殺対策支援センターから提供されている「自殺実態プロファイル」から、2016年~20年の5年間での、中野区内における自殺者の危機経路によると、現役世代の有職者が上位3位を占め、独居が多く、有職者では配置転換により過労や人間関係の悩みを生み、鬱状態に至ることが多いことが分かっています。生産年齢の男性の自殺者割合が高く、女性では20~30歳代の割合が高く、総じて被雇用・勤め人が多いです。区内での対策に留まらず、区民が働く労働現場も想定した対策が求められます。
 現在の労働者は雇用の不安定化や成果主義の持ち込みなどにより、抑圧され、おそらくそれぞれの労働現場では解決しにくい状況があります。前提としては労働基準法などの法令は遵守されず、ないがしろになっており、その結果、自殺の増加が出現していると思われます。
 ◆東京都などの相談窓口や区内の医療機関と連携を強化して、仕事や健康の悩みを相談できる体制を強めるべきではないでしょうか。
 新大綱では、「自殺の危険性の高い人を早期に発見し確実に精神科医療につなげるよう体制の充実」が加えられました。他自治体の取り組みから、うつ病のスクリーニングの実施が考えられます。
 ◆うつ病のスクリーニングを実施し、ハイリスク者を見つけ支援をすべきではないか。
 
また、「自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる」ゲートキーパーとなる人を多く生み出す必要があり、区は2年前から、講習を開催しています。
 ◆区民や区職員、介護職に対して行っているゲートキーパー養成について、延べ参加者数やその効果などどのように評価していますか。また、今後どのように展開、強化を行おうと考えていますか。
 自殺死亡者の中に占める「児童・生徒・学生等の内訳」では、全国や都と比べ中野区では大学生と専修学校生が多くなっています。今まで区としては、区立の小中学校しか想定できず、市立のそれや高校や大学への関わりを持ちきれてこなかったようです。自殺対策審議会の中でも、改めて私立小中学校や高等学校、大学との連携強化を求める積極的な議論がされています。
 ◆私立小中学校などの現状を把握することから始めるなど、連携を始めるべきではないでしょうか。
 新大綱では、自殺対策に資する居場所づくりとして、生きづらさを抱えた人や自己肯定感の低い若者など、孤立のリスクを抱えるリスクのある人が、孤立する前に、地域とつながり、支援につながるよう、オンラインの取り組みを含めて、居場所づくりの推進も掲げられています。これからは地域においてゲートキーパー的なマインドの醸成も求められています。
 ◆生きづらさを抱えた人などがつながる居場所を設置することを検討していくべきではないでしょうか。
 中野区では、15団体か参加する「中野区自殺対策審議会」が進行管理を行っています。自殺対策を「地域づくり」として展開するには、地域のさまざまな関係機関や団体との実務的な協働が不可欠です。
 ◆自殺対策に関わる関係機関や団体等のニーズを把握するとともに、実務的な協働体制を構築・強化すべく、その構成員に、鉄道会社や労働基準監督署、労働組合関係者を加えるべきではないでしょうか。
 「都道府県/市町村地域自殺対策計画策定の手引」によると、行政のトップが関わる形で自殺予防対策を推進するために、「いのち支える自殺対策推進本部(仮称)」を設置することを示しています。中野区でも「自殺対策計画推進会議」が設置されています。
 ◆行政トップが責任者として関わるかたちで、地域自殺対策の推進に向けた体制を整備し、自殺対策の推進に向けた庁内横断的体制を整備すべきではないでしょうか。
 各自治体では、ハード面の対策として、駅のホームに心を落ち着かせるための青色LED照明の導入、駅構内に大型モニターを設置し癒しの映像を流すなど心の安定を図ること、自分の姿が映る鏡を備えるなど、自殺を思いとどまらせる対策が進められています。JR東日本や西武鉄道に対し、区内の駅にこうした対策を行うよう、区として費用補助を行うことを含め、実施を求めることを強く要望してこの項を終えます。

 

  5. 介護・高齢者の施策について
 自宅で最期を迎えたい思いがあっても、疾患や障害によって施設での療養や暮らしをせざるを得ない方がおられます。地域アンケートでは、住み慣れた地域に介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を建設してほしいという希望が寄せられます。同施設への待機者数は4月現在、505人もおられます。
 第8期介護保険事業計画を見ると、介護老人福祉施設を1カ所整備するとしているものの、「令和7年度までの高齢者人口の増加や一人暮らし高齢者の増加の見込みを踏まえて介護老人福祉施設の誘導整備を目指す」としています。区有施設整備計画では「将来的な供給量、提供手法等を精査し、適正な施設の規模・標準単価等の基準を設定して、施設整備を進める」とあります。老年人口は2040年には現在よりも34%も増加します。こうした計画は区民の期待に沿っておらず、整備計画の実行を先送りしているだけに思えます。
 ◆介護老人福祉施設の需要と供給をどのよう見ており、待機者数を減らす見通しをどのように立てているのですか。区が保有する土地を活用し、介護老人福祉施設の整備をいっそう進めるべきではないでしょうか。
 厚生労働省は10月31日、介護保険制度改定に向け議論している社会保障審議会の部会で、見直しの論点を正式に提示しました。論点は利用料2割、3割負担の対象拡大や要介護1、2の訪問介護などの保険給付外し、ケアプラン有料化など7項目で、利用者・家族や事業者団体の強い反対の声を押し切った内容に対し、審議会委員からは「利用控えが生じる」「重度化を招く」などの反対意見が続出しました。論点には、財務省や財界が繰り返し求めている負担増・給付減の項目がずらりと並びました。こうした社会保障審議会の部会での見直しの論点通りの制度改悪が実施されれば、利用控えが生じ、重度化を招くことになりかねません。
 ◆国に対し、社保審の「見直しの論点」に基づく制度改革の実施を中止するよう、区は求めるべきではないでしょうか。
 すべての高齢者に安心安全な住まいを確保することを願って、この項の質問を終えます。

 

  6. 生活保護制度の拡充について
 生活保護の生活扶助基準は5年に1度見直されることになっていますが、前々回の2013年は平均6.5%、最大10%という過去最大の引き下げが行われ、前回の2018年も平均1.8%、最大5%減額が行われました。
 この引き下げをめぐって裁判が行われてきました。東京地裁では最低生活費を実態と乖離して切り下げたことを断罪し、違法の判決を言い渡しましたが、他の3地裁で同様の判決が下されました。物価高騰が急速に進む今こそ、生活扶助基準を直ちに戻し増額すべきです。
 今回、厚生労働省の社会保障審議会生活保護基準部会では、現行で6区分に設定されている級地を3区分に減らす案が検討されていますが、これにより生活保護世帯の多い都市部の基準が結果的に引き下げられるのではないかという懸念が審議会委員からも表明されています。基準の見直しは生活保護世帯のみならず、他の低所得者支援制度にも影響を及ぼします。
 また近年、夏は猛暑が続いています。電気代の大幅な値上げが続いています。エアコンなど適正に活用されなくてはなりません。生活扶助費が削減されてきた中で生活保護世帯に対する補助が必要です。
 ◆生活保護基準引き上げを国に求めるべきではないでしょうか。また電気代相当の夏季加算を国に求めるべきではないでしょうか。区に認識を伺います。
 生活保護バッシングが続き、生活保護利用が悪いことのようなマイナスのイメージが作られてきたため、相談すらためらう人が増えています。
 ◆「生活保護は権利」であることを、あらゆる媒体を通じて周知すべきではないでしょうか。
 区役所の年末年始のお休み期間中、12月29日から来年1月3日までに、住まいを失った方の対応について心配しています。近年、23区内でも半数ほどの区が、臨時に開庁や相談ダイヤルを設けるなどを行ってきました。昨年、区は申請用紙の提供や受け取り、TOKYOチャレンジネットへの案内を予定していました。まだまだコロナ禍が長引いている状況の中で、住まいを失った方の対応について、しっかりと受け止めていただきたいです。また、提供する食品について、乾パンだけではなく、食べやすい食品を求めてきましたが、担当課長は他区では別のものを配布している話も伺ったので、他自治体の情報収集しながら、研究してまいりたい」と言われました。
 ◆この年末年始の期間に区としてきちんとした体制を整えるべきではないでしょうか。また、今度の年末年始ではどのような食品とされるのでしょうか。
 年末の寒さでお亡くなりになる人がいないことを願って、すべての質問を終えます。

 

 

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