10.05
2021年度一般会計決算に対する賛成討論:羽鳥だいすけ2021年度一般会計決算に対する賛成討論
2022年10月5日
羽鳥だいすけ
ただいま上程されました「認定第1号令和3年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について」に対して、日本共産党議員団の立場で賛成討論いたします。
2021年度は新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行が2年目となる下での予算執行となりました。一般会計の歳出総額は1533億3835万1千円、実質収支額は41億2699万3千円の黒字、単年度収支も7億4168万2千円の黒字と2年連続の黒字を計上しました。その他の指標においても、経常収支比率は前年度比4.4%減の72.7%、実質公債費比率は0.5%減のマイナス4%でした。指標は区財政が引き続き極めて健全な状態にあったことを示しています。
こうした決算となったのは歳入が当初予算時より大幅に増額したことが影響しています。特別区税と特別区交付金は当初予算ではそれぞれ334億円、327億円を見込んでいましたが、第11次補正予算でそれぞれ24億円、63億円という巨額を増額、決算はそれすら上回り特別区税360億円、特別区交付金410億円となりました。そのことを受け区債は当初予算では92億3600万円を発行する予定でしたが、皆減となりました。基金残高では予算編成時は2021年度決算時に財政調整基金が241億円に減少するとしていましたが、実際は300億円に増加しました。基金総額でも666億円となり増加しています。財政の将来予測が難しいことは理解しますが、わが会派が指摘していたように、決算値というエビデンスをしっかりと見てから判断すれば、「財政的な非常事態にある」という言明をする必要もなかったということは改めて指摘しておきます。
新型コロナウイルス感染症対策関連経費は他区との比較可能な資料において、決算額で115億9218万6千円となっていますが、一般財源からの支出は5億8118万2千円に過ぎません。わが会派はワクチン接種とともに、検査の充実を行うこと、苦境にあえぐ医療機関や区内事業者への直接支援を求めてきました。財政の見通しが想定よりかなり上向きであることが分かった段階で、実施されたものよりもさらに多種多様な施策が打てたのではないかと考えます。
わが会派は2021年度の予算審議にあたって、コロナ禍にあって必要な区民サービスが削られることのないよう、財政調整基金を積極的に活用し、区民生活を守る役割を果たすよう求めてきました。財政が厳しくなることを見込みつつ、区民サービスの削減をしなかったことは評価いたします。新型コロナウイルス感染症対策としてワクチン接種やプレミアム付き商品券事業を実施したことなどは重要です。また、高齢者に対するコロナワクチンの予約支援を区民活動センターなどで行ったこと、23区初の生活保護の利用を呼び掛ける啓発ポスターを作成したことは、区民の困難に目を向けた施策として評価いたします。ポスターについては他自治体からも先進事例として多くの問い合わせがあると聞いています。2020年度に行った区民1万人を対象とした「暮らしの状況と意識に関する調査」は2021年度に総合アクションプランとして策定され、中野区で地域包括ケアを進める大きな力になっています。
また子どもの権利に関する条例の制定に係る経費、児童相談所開設準備経費の執行や、就学援助の準要保護基準を1.15倍から1.3倍に引き上げたことは「子育て先進区」を実現しようとする区の姿勢を示したものとして重要です。その他にも区長公約でもあった公契約条例や、人権及び多様性を尊重するまちづくり条例についても制定に向けて着実に準備を進め、今後の区政の前進に寄与したと考えます。
改定された中野区基本構想、中野区基本計画に沿って数々の施策を進めてこられたものとして評価いたします。
コロナ禍にあって、高齢者虐待の通報・届出件数が2020年度の80件から、2021年度には118件に、精神保健に関する電話相談が2020年度の3851件から2021年度には5856件に激増しました。また、住民税課税世帯に占める年収200万円未満の世帯の増加からは区民の中で貧困と格差が広がったのではないかと懸念します。税務においては質疑の中で不適切な徴収事例も明らかになりました。「誰一人取り残さない中野区」を実現するためにも、区民一人ひとりに寄り添った対応を求めます。
今年に入ってから、アベノミクスによる異次元の金融緩和など政策の失敗による円安、そして物価高騰が大変深刻になっています。政府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が物価高騰にも活用できるようになりました。区には積極的な新型コロナ対策とともに、物価対策において改めて積極的な施策展開を要望し、討論といたします。