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2022年 第1回定例会 本会議・一般質問 2022/2/15 浦野さとみ2022年第1回定例会 本会議一般質問
2022年2月15日 浦野さとみ
2022年第1回定例会本会議にあたり、日本共産党議員団を代表し一般質問をおこないます。新型コロナウイルス感染拡大が甚大な影響を与える中、お亡くなりになった方々にお悔やみを申し上げるとともに、罹患された方々にお見舞いを申し上げます。また、医療や介護などの最前線の現場で働かれている皆さんをはじめ、ライフラインを維持するために昼夜問わず尽力して下さっているすべての方々に感謝申し上げます。質問は通告通りです。
はじめに、1、区長の政治姿勢と所信表明について、(1)公約実現と区政運営について伺います(4問)。
区長就任から3年9カ月。任期終了前、最後の区議会定例会となりました。区長は所信表明で就任以来の主な取り組みとこの間の成果について述べられました。私たちは、区長自身の公約や政策協定に基づく施策として、区立保育園全園民営化方針を撤回し区立園を存続させながら保育の質ガイドライン作成したこと、区立幼稚園廃止の見直し、児童館全廃計画を見直し職員増員による開館日拡大や機能充実を打ち出したこと、子どもと子育て家庭への実態調査を踏まえた子どもの貧困対策、子どもの権利に関する条例制定へ向けた取り組みをはじめ、哲学堂公園再生整備計画を見直し国の名勝指定を得ながら保存活用計画策定へ動き出したこと、旧豊多摩監獄表門の保存・活用、公契約条例制定へ向けた取り組み、男女共同参画や多文化共生の推進などについて評価致します。これらは、前区政のもとで示された10か年計画に対し、各分野での見直し・撤回を求める区民の声を受けたものが多く含まれています。コロナ禍において、2020年度に区民の暮らしの状況と意識に関する調査を実施し、今後の施策展開に活かそうとされていることも重要です。
〇所信表明の中で「区政の主役は区民の皆さん(である)」と区長就任時に述べられた言葉にあらためて触れていますが、区政運営で大事な姿勢と考えます。対話の区政のため、開催方法を工夫しながら区民とのタウンミーティングなどでの対話も重ねてこられました。区政の主役である区民の皆さん、区政をともにすすめる現場職員の皆さん、そして、区議会などと対話と議論を重ねていく姿勢は、これからも変わることはないか伺います。
「時には立ち止まって、当初の想定や方針、方法を見直しながら区政をすすめてきた」とも触れていますが、新庁舎における生活援護課の配置案見直しもその大きな一つであり、今後の区政運営で大事なことでした。一方で、区長の大きな公約の1つであった平和の森公園再整備計画の見直しが実現できなかったことは痛恨の極みです。私たち会派としても区民の方々に公約として掲げた問題であり本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。様々な困難があったにせよ、示し続けられた民意に背を向けることは絶対にあってはいけないと考えます。できる限りの力を尽くしても、議会の力関係などで時には実現できないこともあると思います。しかし、区民の方との約束は守っていくという姿勢が貫かれてこそ、信頼は築いていけるものだと考えます。
〇区長が公約としてきて実現できなかった課題について、また、不十分だったと感じていることについても、区長ご自身の言葉でぜひ、見解を述べていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
中野駅周辺のまちづくりにおいても、アリーナ規模の見直しは図られたものの、組合施行の市街地再開発については区が前のめりとなっていることで、開発事業のあり方によっては、地権者や住民の皆さんの生活と権利が損なわれかねず、住民合意を大前提としたまちづくりが求められます。西武線沿線・野方以西の連続立体交差事業や西武新宿線区内各駅の周辺のまちづくりも同様であることは重ねて強調したいと思います。
〇財政運営に関わって、1点伺います。今年度当初予算では、歳入で特別区税や特別区交付金等は前年度からの大幅減が見込まれていましたが、前年度を超える見込みとなっています。来年度の一般財源の歳入も、想定以上の増収幅となり、2020年(R2)年度を上回る規模となります。こうした状況を踏まえると、財政が非常事態という認識は、今後の財政出動にも影響を与えかねず、今後の施策展開を見誤る可能性もあります。この認識はあらためるべきと考えますが見解を伺います。
今後、「(仮称)中野区子どもの権利に関する条例案」や「(仮称)中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例案」が議会へ提案される予定です。これらが理念にとどまらず、確実に施策を前進させていくための具体化が重要となってきます。これから、改定された中野区基本構想と新たな基本計画に基づいて区政運営を進めていくことになります。所信表明の中でも、基本計画で定めた3つの重点プログラムを区政運営の柱としていくことが述べられましたが、この3つの柱を進めることが「誰一人取り残さない」社会の実現へ重要であると考えます。その上で、職員体制のあり方がとても大切です。
〇前区政のもとでの行き過ぎた職員削減が各部署で大きな弊害となっています。これは、基本構想・基本計画を前へすすめることが困難になることだけではなく、現状の課題解決も難しい状況にあるとも考えます。2000人体制については、根本的な見直しが必要ではないでしょうか。見解を伺います。
次に、(2)新型コロナウイルス感染症対策とコロナ禍で浮き彫りとなった課題について伺います(7問)。
私たちはこれまでも、感染拡大を抑えるための大規模検査、迅速なワクチン接種、事業継続の補償をセットでおこなうことを繰り返し求めてきました。新たな変異株が猛威をふるう中、中野区内でも1月28日には新規陽性者が500名を超え、想定していたフェーズ8を上回る状況となりました。
昨年末、政府が発熱外来の体制支援のための補助金をなくし、年末の診療分から新型コロナに係るPCR検査や抗原検査の診療報酬点数の引き下げをおこなったことは看過できません(PCR検査18000円→13500円)。第6波に備え体制づくりをおこなってきた医療機関にとってはこれ自体が大きな打撃となっています。「感染リスクを背負いながら検体をとる手技代、検査に必要な手袋やマスク・消毒液などの物品代を考えると赤字です。検査の強化こそ必要なこの時期に、医療現場を苦しめるようなことはやめて欲しい」との声も届いています。検査をすればするほど赤字になるため、検査をおこなうことを辞めざるを得ないと医療機関もあります。
〇発熱外来への体制支援、補助金の復活、検査に係る診療報酬の引き上げを国に求めるべきです。見解を伺います。
〇神奈川県海老名市では、こうした事態を踏まえ、市内医療機関に対し、PCR検査1回につき5000円の補助金を出すことを公表し、補正予算として市議会に提案するとのことです。市内の検査体制を維持することが目的です。中野区でも、この事態を踏まえ、区内の検査体制維持のために実施を検討すべきです。答弁を求めます。
小中学校や学童、幼稚園や保育園などの子ども関連の施設での感染が拡がり、学年・学級閉鎖や休園が相次いでいます。オミクロン株の特性を踏まえれば、クラス単位での速やかな検査が重要です。東京都教育委員会が順次、通知を出しています。1月19日付では、部活動の大会や移動教室などの前後において、参加する児童・生徒及び教職員を対象にPCR検査が活用できるようになりました。1月25日付では、学校内に感染が拡がっている可能性が高いと判断された場合には、これらの施設でも定期検査が可能となりました。2月2日付では、区立学校の教職員等が抗原検査を週1回受けられるもので、学校ごとに登録し検査キットが発送される仕組みで7日から受付が始まっています。
〇迅速な情報提供とともに、これらの通知も踏まえ、子どもや教職員などの安全を守るために検査体制を拡充すべきです。見解を伺います。
東京都は昨年12月からPCR等検査無料化事業を開始しました。当初の予定期間から延長されたことは重要です。中野区内でも複数の薬局などで検査が可能で、東京都モニタリング検査も中野駅北口で幾度に渡り実施されています。杉並区では事業者(川崎重工)と連携し、1月24日~2月20日までの期間、区内の大規模公園を会場に無料でPCR検査を実施しています。
〇中野区でも一定規模があるところなどを活用し、検査体制の拡充を検討すべきではないですか。見解を伺います。
検査実施にて陽性者となった方への対応について、2点伺います。中野区内でも自宅療養の方が増えています。症状のある感染者が、医療や適切な健康観察を受けられずに自宅に放置されることがないようにしなくてはいけません。
〇有症状、無症状の感染者それぞれを保護するために宿泊療養施設を大規模に確保することも東京都へあらためて求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇また、医師が入院の必要がないと判断した方に対しても、医療機関との連携を強めながら十分な健康観察をおこなうこと、保健所の負担軽減の観点からも東京都の自宅療養者フォローアップセンターや自宅療養サポートセンターへ迅速に繋ぐことが重要です。現状の対応と今後について伺います。
この項の最後に、コロナ禍で浮き彫りとなった課題についてについて、1点伺います。コロナ以前から問題となっていた、非正規や低賃金、ケア労働のあり方などの社会的構造の問題が一気に表面化しました。長引くコロナ禍、生きづらさが他者への寛容さを失い、死を選ばざるを得ない現状も生まれています。一人ひとりの皆さんが、本当に懸命にいまを生きています。区長は所信表明で、「感染症の長期化により増加している生活困窮者への支援」「教育格差が拡大したといわれる子どもたちへの支援策を講じる」ことや「長期化により貧富の格差が大きくなったことを実感している」と述べました。
〇社会全体のあり方、行政のあり方が問わる中、住民に一番身近な自治体としての「公助」の役割を発揮し、自治体としてできることに力を尽くしていくことが大切です。住民と行政の間にはまだまだハードルがあり、困った時には区役所へという意識は弱いと感じます。困りごとを具体的に例示し、各相談窓口の周知をよりわかりやすくするなどの工夫もおこないながら、コロナ禍で生きるすべての方に行政の姿勢を伝えていくことが大切であると考えます。答弁を求め、この項を終わります。
次に、2、生活保護行政の改善・充実について、まず、(1)制度活用を周知することについて伺います(9問)。
長期化するコロナ禍、2度目の年末年始が過ぎました。今回の年末年始も、都内では、支援団体や有志スタッフ、民間ボランティアの方々が連日、様々な場所で食糧支援や生活相談などをおこないました。各場所、1度目の年末年始を上回る方が訪れたとのことです。昨年11月の生活保護申請件数は全国でおよそ2万1千件となり、前年同月より10.6%増えたことが厚労省のまとめで明らかになりました(2月2日公表)。申請件数が前年と比べて増加したのは7カ月連続で、生活保護開始となった方も前年同月比で9.1%増え、再就職が難しいことなどから生活が苦しく追いつめられる人が増えていることがみてとれます。
〇コロナ前の2019年度と2020年度、2020年度と2021年度それぞれについて、生活援護課で受けた生活相談数、生活保護の受理件数について、増減率とあわせ答弁を求めます。
食糧支援などを訪れる方が絶えないことや、私たちに寄せられる様々な相談の状況を鑑みると、実際には生活保護基準以下で生活をされている方はさらに多数と想定されます。これまでも求めてきましたが、「生活保護の申請や利用はみんなの権利」と、ポスターなどを作成し区のお知らせ版や公共施設への掲示など、積極的に発信すべきです。また、短い時間の動画などで相談の流れをイメージしやすくする工夫なども必要ではないでしょうか。
〇現在の検討状況と今後の手立てについて答弁を求めます。
1つの手段として、生活保護のてびきをもっと目にふれやすくすることを昨年9月の決算特別委員会総括質疑で求めましたが、11月からホームページにも掲載いただいたことは評価致します。より手に入れやすく、目にふれやすくする手立てを重ねて要望致します。
次に、(2)扶養照会について伺います。
生活保護を利用する上で扶養照会が大きな壁となっていることについても、繰り返し指摘してきました。実際に扶養照会によって金銭的な援助が可能だった割合は、2019年度、中野区ではわずか0.1%でした(申請765件、保護開始した729件中、約4分の1の186世帯で扶養照会を実施。金銭的援助を受けた件数は1件)。
〇生活保護申請数、保護開始件数、扶養照会を実施した件数、そのうち金銭的支援に繋がった件数について、2020年度と、2021年度12月までの実績について伺います。
この間、扶養照会廃止を求める世論が高まり、厚労省は昨年3月、扶養照会の運用を変更する通知を各自治体へ出しました。その中身は、親族に問い合わせがいくことを拒否したい方は、申請時にその意思を示し、一人ひとりの親族に対し扶養照会をすることが適切ではないことや扶養が期待できる状態にないことを説明すれば、実質的に扶養照会をとめることができるというもので、今年度4月1日から運用されています。
〇現場ではこの通知がどのように周知され、相談に来られた方に対してもきちんとアナウンスされているのか伺います。
この運用変更は一般的には殆ど知られていません。首都圏の自治体議員グループが、福祉事務所が設置されている首都圏1都3県の全自治体から生活保護のしおりを入手し、扶養照会がどのように説明されているかを精査する調査を実施しました。その結果、今回の運用変更について触れている自治体は少数にとどまっています。
一方、文京区では昨年9月、生活保護の案内に「DVや虐待などの被害があり、親族に居場所を知られたくないといった特別な事情がある場合には扶養照会を見合わせることもできる」との記載を追記し、港区でも記載の改善がされています。
〇中野区でも、生活保護のてびきやホームページなどに、今回の厚労省通知を反映させた記述にあらためるべきです。答弁を求めます。
全国の自治体の中には今回の通知に従わないだけでなく、法律を捻じ曲げて親族による扶養照会を強要する自治体もあります。中野区内に活動拠点をおく「一般社団法人つくろい東京ファンド」は、生活保護問題対策全国会議の方々とともに、扶養照会に関する申出書を作成しました。この申出書は、厚労省の通知内容をそのまま落とし込んでいます。昨年末、滋賀県議会でこの申出書の活用について質問をした際、県の担当部長は「自分の意志をうまく伝えられない方などが福祉事務所に対し自分の意思を伝える上でこうした様式(申出書)を活用することもひとつの有効な手段と考えられる。今後、各福祉事務所へ情報提供していきたい」と見解を示しました。
〇扶養照会は福祉事務所職員にとっても多大な時間と労力を費やす業務です。こうした申出書の活用は一つの有効な手段と考えますが、区の見解を伺います。
次に、(3)職員体制の強化と育成について伺います。
社会福祉法では、都市部での生活保護世帯80に対し、ケースワーカー1人の配置を標準数として定めています。しかし、中野区ではケースワーカー1人あたり平均で150~160世帯にも及び、この間、取り上げてきた高齢者居宅介護支援事業を実施している高齢者保護係に至っては1人あたり330世帯という状況です。ケースワークの肝となる家庭訪問で生活実態が把握できなければ、適切な支援をおこなうことができないことは周知の通りです。
〇昨年の決算特別委員会で指摘した高齢者居宅介護支援事業を実施している世帯には、今年度からようやく訪問計画が策定されました。個別の支援プログラムを活用しているため、国の実施要領に基づき年1回のケースワーカー訪問が位置づけられていますが、1月末現在の家庭訪問状況について、答弁を求めます。
ケースワーカーの配置は標準数を保っている自治体もあり、行政の姿勢が問われます。中野区では、ケースワーカー不足が常態化をしており、今後、10年間で20名のケースワーカー増員計画が示されていますが、10年待たずに前倒しも含めて検討すべきであることを重ねて要望致します。
体制強化とともに、多岐に渡り専門性が求められるケースワーカーの育成も欠かせません。現在、中野区では分業制をとっているために、ケースワーカーの育成に課題があるとも伺っています。また、利用者さんや支援団体の方を通じて、明らかなモラルハラスメントやパワーハラスメントでの対応がされているケースについての情報も寄せられています。非常に残念であり中には耳を疑うような対応もありました。一方で、本当に親身に寄り添い素晴らしいケースワークをされているケースワーカーも中野区には沢山います。その姿勢には私も学ばされます。
〇利用者さんは担当ケースワーカーを選ぶことはできないため、やはり、専門性の発揮のための育成が重要です。ケースワーカー育成の観点で、現在の課題と今後の対応について、見解を伺います。
(4)この項に最後に、その他で、生活保護世帯の大学等への進学について伺います。
現在の法制度で子どもは、高校卒業後は働くことを前提としているため、原則、生活保護を利用しながらの大学等の進学は認められていません。そのため、進学する場合には世帯分離をおこなうことになります。例えば、両親と子ども1人の3人世帯で生活保護を利用している場合、そのお子さんが大学等に進学する場合には、同居を続けていても、両親と子どもは別世帯として世帯分離をすることになります。当然ながら、その分、保護費は減少し、分離をしたお子さんは生活扶助の対象外となるため、生活費や学費などはお子さんが自分で工面することになります。2018年の法改正で、世帯分離をしても住宅扶助は減額されなくなり、進学準備給付金として、転居しない場合には10万円、親と別居して転居する場合には30万円が支給されることになりましたが、生活保護世帯の子どもが進学を諦めざるを得ない状況は続いています。
〇中野区では、進学準備給付金を利用している方はどの程度か。2018年からの3年間の実績を伺います。
神奈川県横須賀市では、昨年、両親からの虐待で避難する女子大学生から生活保護の申請を受けましたが、大学生は対象外となっているため、新年度、同じ境遇の大学生に対し、生活保護と同程度の金額を支給する独自制度を設けることを表明しました。等しく学ぶ権利を保障するためにも、厚労省が運用をあらためることが必要であることを述べ、この項の質問を終わります。
次に、3、聞こえの支援について伺います(2問)。
これまで、聞こえの問題に関しては、加齢性難聴への支援として補聴器補助制度の創設や聴力検査を健診項目に加えることなどについて、繰り返し、取り上げてきました。補聴器補助は、来年度からあらたに港区や三鷹市でも事業開始のための予算計上がされるとのことです。あらためて、中野区での制度実施を強く要望致します。今回は、聞こえの支援をおこなう上で、聞こえの問題への理解を深めることの重要性について伺います。
軽度~中等度難聴は推定で1300万人とも言われています。障害者手帳に該当しない人、該当していても取得していない人も多数います。軽・中度度の難聴は、社会でも認識が浸透しておらず誤解も多いと言われています。そのため、当事者が孤立することにも繋がっています。原因は多岐にわたり、幼少期からも起こります。しかし、日本では、聞こえについて学ぶ機会が殆どないため、子どもに軽度の難聴がある場合でも、気づかずに発見が遅れることがあります。また、発見されても大きな問題とみなさないことも少なくありません。
〇子どもの成長にも影響を与えることから、適切な支援はもちろん、聞こえの問題についての理解を深めていくこと、学校教育の中でも取り組んでいくことが重要と考えますが認識を伺います。
〇聞こえの問題はコミュニケーションの基礎となります。聞こえの問題を年齢問わず共有していくことが大切です。聞こえのチェックリストを作成したり、聞こえに関する講座を積極的に開催したりするなど積極的におこなうべきです。見解を伺います。
次に、4、痴漢をなくすことについて伺います(6問)。
痴漢は性暴力であり、人権を侵害する明確な性犯罪です。絶対に許されるものではありません。
〇法務省の2019年度版犯罪白書で、性的事件被害内容をみると痴漢が最も多くなっています。現在、中野区として痴漢をなくすために警察などの連携し取り組んでいることは何か、まず初めに伺います。
一昨年(2020年8月~11月)、日本共産党東京都委員会のジェンダー平等委員会が、痴漢被害に関する実態調査をおこなったところ、1435人の方から回答が寄せられました。その中で性的接触などの痴漢被害やハラスメント被害を受けたことがあるとの回答が全体の96%(1394人)、被害を受けた年齢として18歳以下が71.5%、小学生以下が34.5%にのぼり、中学生や高校生が多く狙われている傾向も示されました。ある小学校1年生は「図書館で男性に髪の毛を引っ張られて性器を押し付けられた」、高校生は「電車内で性器を触られ抵抗したら相手のものを触らされた。ほぼ毎日、通学時に痴漢被害にあった。同級生でも被害にあっている子が多く、自分だけではないと思い、ただ黙って耐えた」など、その被害状況はあまりにも深刻で、日々、加害が繰り返されている実態をあらためて浮き彫りとなりました。
〇痴漢被害は、子どもや若者被害が多いと言われており、私たちの調査でもそうした傾向がみて取れます。子どもの被害状況が深刻であることについてどう認識されているか伺います。
〇一昨年、政府が発表した「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」では、文部化科学省が「子どもを性暴力の当事者にしないための生命(いのち)の安全教育」を具体化し、今後、教育現場に取り入れるとしています。加害者も被害者も生まない教育が必要と考えます。中野区の教育現場でどのように具体化していくのか答弁を求めます。
アンケートでは、被害にあった時に「何もできなかった(54.8%)」「怖くて反応できなかった(49.8%)」が圧倒的でした。また、被害を受けたあとには「電車が怖くなり乗れなくなった」「道を歩くという普通のことに過剰な緊張や警戒心が強くなり心理的負担が大きい」「頻繁なフラッシュバックで受験勉強に支障」など、深刻な後遺症に苦しんでいる方が多いことも明らかになりました。同時に、「初めて詳細を書きました。殆ど人に話したこともありません」「書くのはこころがしんどい」など、被害を受けた方への影響は計り知れません。口にすらできないことが膨大にあり、アンケートで寄せられた被害実態は、氷山の一角であると考えられます。
〇痴漢被害が、身体的にも精神的にも被害者を苦しめ、その後の人生にも影響が及ぶ実態があることについて、どのように認識されるか伺います。
痴漢被害にあった場所は、電車の中76.5%、路上62.7%、駅構内34.6%、図書館などの公共施設11.2%、バス9.3%の順となっています。いずれも身近な場所で起きています。受験シーズンには受験生を狙った痴漢行為をあおる悪質な投稿がインターネット上で行われていることも看過できません。そうした中、東京都が都営地下鉄で「痴漢・盗撮・暴力は犯罪行為です。何かお困りのお客様や、お気付きのお客様は、駅係員、乗務員、警備員または巡回中の警察官までお知らせください」という加害を防止するアナウンスを流し始めたことは重要です。JR中野駅は1日の平均乗降客数が30万人を超え、関東バスや京王バス路線も多数、いきかいます。
〇痴漢被害場所の状況を鑑み、JR東日本やバス運行会社などとも連携し、痴漢をなくす取り組みを強めるべきです。見解を伺います。
先のアンケートで「どのような支援があるとひとりで抱え込まずに状況を伝えてみようと思えるか」と伺うと、「話を聞いてくれる場所・人」が求められていることも明らかになりました。その際、寄り添いながら一緒に考える支援が重要です。そのため、痴漢被害などの相談先などについての情報発信がより大切になります。
〇中野区では、犯罪被害者等相談支援窓口があり、そちらでも被害相談を受けていますが、より周知が必要です。また、【若年層女性を対象とした性的な暴力について】がホームページにまとめられ、デートDVやJKビネス、アダルトビデオ出演強要問題などについての被害事例や相談窓口を掲載しています。ここに、痴漢被害についても明記することが必要ではないでしょうか。伺います。
アンケートの中で、痴漢被害を誰かに話せたかどうか、また、その結果どうなったかについてもお聞きしましたが、相談してもまともに対応されない事例やセカンドレイプの事例が多数記述されていました。被害者側を責める社会をなくし、セカンドレイプをなくすことも重要です。そして、痴漢は再犯率が高く、加害者は痴漢依存症のケースも多いことから再犯防止プログラムを早い段階から長期にわたり実施することも大切です。痴漢が性犯罪、性暴力であるにも関わらず軽視されてきた現状を変えるために、高校生や大学生も声をあげています。一般社団法人日本若者協議会のジェンダー政策委員会は、これまで日常化し、「仕方ない」と言われてきた痴漢を本気で問題解決したいと呼びかけた署名には、わずか2週間で2万人近い方から賛同が集まったとのことです。今年度、内閣府において、痴漢を含む若年層の性暴力被害の実態調査がおこなわれています。その調査結果も注視しながら、区としてできることを積極的に検討すべきことを要望し、この項の質問を終わります。
最後に、5、その他で、(1)(仮称)上高田五丁目公園ついて伺います(1問)。
同敷地は、公務員宿舎が解体され、現在は更地となっています。中野区の大規模公園整備の基本的な考え方においては、スポーツ機能としてのサッカー場を、また、防災機能として広域避難場所にすることが記されています。一昨年の第4回定例会本会議で、地域での有効活用について伺った際、「都市計画公園としての整備を目指し、R3年度にかけて東京都と調整を行い、広域避難場所の機能充実等を図ることを考えている」との答弁でした。その後、委員会報告などはおこなわれていませんが、現在の状況はどのようになっているか、活用にあたっては地域の声を丁寧に伺いながらすすめていっていただきたいと思いますがあわせて答弁を求め、すべの質問を終わります。