10.05
2020年度一般会計決算に対する賛成討論:羽鳥だいすけただいま上程されました「認定第1号令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について」に対して、日本共産党議員団の立場で賛成討論いたします。
2020年度決算は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の下で、例年と大きく異なる財政構造となりました。税収の大幅な減少も予想されましたが、影響は想定を下回りました。実質収支は43億6877万7千円の黒字、実質単年度収支は28億2868万6千円の黒字、経常収支比率は2019年度を3.2%下回り77.1%、財政調整基金の年度末現在高は286億8809万1千円と2019年度よりも増加したことなど、各種財政指標は中野区財政が健全であったことを示しています。
そうした中、区が新型コロナ対策としてPCR検査センターの開設や区内医療機関や保育施設、学校などに対策費用を支給したこと、給食事業者への支援を行ったこと、プレミアム付き商品券事業の実施したこと、国民健康保険において傷病手当金を支給したことは、住民に身近な基礎自治体として大事な役割を果たしたと評価いたします。
また、今年度の子どもの学習スペース確保や子ども食堂の拡充などにつながる子どもの貧困対策に係る学識経験者への意見聴取を行ったことや暮らしの状況と意識に関する調査を実施したこと、重症心身障害児(者)レスパイト事業の上限を充実したこと、公園遊具の改善に区民参加で取り組んだこと、特別養護老人ホームの増設と定員を増やしたこと、「外国人のためのなかの生活ガイドブック」を発行したことなど、区民の意見・現状に耳を傾けたものであったと評価いたします。
同時に指摘しなければいけないのは、「財政的な非常事態にある」という区の認識が施策展開に与えた影響についてです。区は2020年第2回定例会において、単年度においてリーマンショック時を超える100億円以上の減収を想定した対応が必要となるとして、2020年度当初予算における一部の新規・拡充事業の中止、延期を決めました。そして区長は2020年第3回定例会において、税収の減少により数年以内に財政調整基金の年度間調整分が尽きてしまう事を根拠に、区財政が「財政的な非常事態」にあると述べました。新型コロナウイルス感染症の影響は前例がないだけに、予測が困難であったとは思います。しかし、わが会派は、今後の財政見通しが示された際に、リーマンショック時の事例も出して、きちんと決算ベースでみていくことが必要であることを指摘しました。今回、出された決算を見て感じるのは、やはり「財政的な非常事態」という認識は拙速であったという事です。新型コロナ対策に係る事業の決算は、特別定額給付金を除いた総額約41億円に対して、区の一般財源からの支出は約4億5000万円に過ぎません。その中でも区単独事業はさらに少なくなっています。この認識がコロナ対策において医療機関への支援など独自の施策を行うことをためらわせてしまったのではないかと感じます。
区長は2021年第1回定例会におけるわが会派の質問に対し、「厳しい財政状況の中におきましても、必要な区民サービス等に対しては財源を投入し、推進をしていく必要があると考えているところでございます。適時適切に基金を活用し、区民の命と健康を守るための施策に最優先で取り組んでいきたい」と述べました。2022年度の予算編成における区民向けの支援施策のさらなる充実を要望し、討論といたします。