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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

06.29

2018年第2回定例会本会議一般質問:長沢和彦

 2018年第2回定例会にあたり、日本共産党議員団を代表して一般質問をおこないます。
 6月18日の早朝に起こった大阪北部地震により、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆さまに対してお見舞いを申し上げます。
 酒井直人新区長のご就任をお祝い申し上げます。日本共産党は市民団体である「区民の声を聴く中野区政を実現する会」の共同代表の一人として、酒井直人さんと政策協定を結び、区長選挙をたたかいました。日本共産党は、政策協定に基づき、区民要求実現のために努力を重ねていく決意です。

1. 区長の政治姿勢について

(1) 施政方針説明について

 区長は、施政方針説明のなかで、新たな基本構想の制定について言及されました。 何をどのように改定するのかが大事であると同時に、現行の基本構想については、「広範な区民参加による議論を経たものは制定のみで」あったことを指摘し、「基本構想の制定にあたっては、区民ワークショップや基本構想審議会をはじめ、多くの区民の皆さんと意見交換を重ねて、次の時代の中野を思い描いてまいり(たい)」と述べられました。たいへん重要な考え方であり、区政運営の最上位に位置する基本構想を区民参加により制定をすすめようとされていることを高く評価します。
 その上で、何点かうかがいます。
 2005(平成17)年に制定した基本構想は、基本構想審議会を設置し、多くの区民が参加したワークショップも繰り返し開催されました。しかし、それを受けて区が提案した基本構想や「10か年計画(第1次)」は、ワークショプに参加した区民が望んだものとは違う内容のものが出され、決められていったと多くの区民が感じました。2001(平成13)年3月からの、区民への痛みの押しつけとなった「行財政5か年計画」と、2003(平成15)年2月作られた「経営改革指針」によって、「小さな区役所」、「成果の重視」、「市場・競争原理の活用」などの視点が取り入れられ、目先の採算・効率の追求や、「民でできることは民で」として、職員体制の維持・強化が図られないなど、こうした計画・指針がフィルターとなり、当時流行ったニュー・パブリック・マネージメント(NPM)、新しい公共経営の考えを前面に出す形で、今日の基本構想と10か年計画が制定・策定された経緯があります。前区長が当時の基本構想を変えたいという理由は、策定を検討していた10か年計画の邪魔にならぬよう、計画のための基本構想、計画に都合のよい基本構想にする必要があったからです。 区長には、徹底した情報提供・公開と区民との情報共有、区民参加と区民との双方向による議論、説明責任等を実施し、区民の権利の保障と住民自治を基本とした参加を根幹とした、区政の指針、及び計画となるよう、基本構想の制定と基本計画の策定に取り組んでいただくことを求めます。見解をうかがいます。

 区長が施政方針説明のなかで述べているように、「中野区は自治基本条例を制定し、区民の区政への参加の権利を保障し、参加の仕組みを作ってきました」。問題は、それが生かされてきたのだろうかということです。区長が施政方針説明の冒頭に述べられたように、「区民参加のあり方」が問われたのが今般の選挙だったと思います。その点では、主に区の姿勢、区のトップの姿勢が政策決定過程を左右していたわけです。同時に、より住民参加を促していくための制度の構築を検討してみてはいかがかと考えます。
 例えば、地域における課題の解決をより重層的に行う仕組みを構築するなどです。中野区では、町会・自治会等の各団体が活発な活動を行い、地域を支えていますが、一方で、多様化する住民ニーズなどから、個々の団体だけで解決を図ることが難しいことも増えています。また、現在、町会・自治会による地区町連の推薦によるメンバーの構成により、区民活動センター運営委員会による様々な取り組みが行われています。しかし、ここでもメンバーが固定化されがちで、その方々もいろいろな役割を担っているため忙しいのが実状だと聞きます。先般、「区民の町会・自治会活動への参加の促進に関する検討会」の報告書が議会に示されました。町会・自治会自らによる量的・質的な強化を図ることが求められ、そのための支援も必要です。同時に、住民参加を意識的に追及していくことも大切になっていると考えます。
 例えば、横須賀市での地域運営協議会。各地域活動団体の連携、ネットワーク化を図り、地域で暮らす人々が主体となって地域の課題を解決するための地域自治組織として運営されています。各地域運営協議会では、地域の課題などについて話し合う「地域運営協議会と市長との車座意見交換会」なども開催されています。
 また、上越市では、市の全域に地域自治区を設置して、各区に地域協議会を設置。身近な地域の課題について、そこで暮らす住民の皆さん自らがその解決方法等を議論し、地域の意見をとりまとめ、市長に意見を伝えるための機関となっています。 他の自治体においても、地域課題の解決を図るための組織やネットワークがつくられ、住民自治が実践されています。
 もともと中野区においては、区民活動センターの前身である地域センターを中心に地住構想が掲げられ、住区協議会により活動実践が行われてきました。再び同じ構想をと言いたいのではありません。ただ、区民活動センターを中心とした区内15の地域、ここでの地域コミュニティは歴然と存在しています。それを生かしていく仕組みを検討されてはいかがかと考えます。見解をうかがいます。

 中野駅新北口駅前エリア 区役所・サンプラザ地区の再整備についてうかがいます。
 施政方針説明では、「中野四丁目新北口地区まちづくり方針において掲げた集客交流施設としての最大1万人収容のアリーナについて検証を行い…あるべき施設の規模、用途、スケジュール等について丁寧に議論してまいりたい」と述べています。 また、区長は就任会見で、「区長選で争点となった中野サンプラザ解体や1万人収容のアリーナ建設などの中野駅北口整備計画について『一度立ち止まる』と述べ、凍結を表明し…学識経験者らによる検証委員会を発足させ、答申を受けた上で方針を決める」と述べられたことが報じられました。
 検証委員会の発足は大事ですが、様々な角度と立場からの検証が必要であり、きちんと区民からの公募を取り入れるなど、区民参加をこの事業においてもはかるべきと考えます。見解をうかがいます。

(2) 核兵器廃絶について

 アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長が、6月12日にシンガポールで米朝首脳会談を行いました。両首脳が署名した共同声明では、金委員長は「朝鮮半島の完全な非核化への強固で揺るぎない決意」を表明し、トランプ大統領は「北朝鮮に対する安全の保証の提供」を約束し、米朝両国が「平和と繁栄を望む両国民の願いに従って新しい米朝関係を樹立」し、「朝鮮半島に永続的で安定した平和体制を確立」することを宣言しました。我が党は、長年にわたって厳しく敵対してきた米国と北朝鮮が、初の首脳会談を行い、朝鮮半島の非核化と平和体制構築をすすめ、両国関係を敵対から友好へと転換させるために努力することで合意したことに対して、心から歓迎するものです。
 日本政府においては、対話による問題解決のための真剣な努力を行うこと、そして、日朝首脳会談の実現を願うものです。その際、核・ミサイル、拉致、過去の清算など両国間の諸懸案を包括的に解決して国交正常化に進もうという2002年の日朝平壌宣言をふまえた交渉が大切であると考えます。
 核兵器をめぐっては、唯一の戦争被爆国である国民の願いは核兵器の廃絶です。核兵器禁止条約の発効・批准もその過程における重要な取り組みです。 「憲法擁護・非核都市宣言」を掲げる中野区として、平和と核兵器廃絶のために積極的に発信をしていただきたいと思います。
 さて現在、平和首長会議に参加しているのは今年の6月1日現在、世界で7595都市。日本で1725都市です。東京都においては昨年10月以来、参加が続いています。現在、都内自治体では22区が参加、26市と5町でもすべての自治体が加盟しています。加盟していないのは、島嶼である利島村、三宅村、青ヶ島村、そして中野区だけです。平和首長会議は、核兵器廃絶を目指して様々な活動を展開しています。
 区長には参加を表明していただきたいと考えますが、いかがですか。うかがいます。

2. 子ども施策について

(1) 子どもの貧困の克服について

 区長は施政方針説明のなかで、「中野区を子育て先進区へ」と述べられました。子育てしやすい区政への転換は多くの区民・保護者の願いです。
 主に経済格差によって生じている子どもの貧困への対策が、国とともに、地方自治体での取り組みが待たれています。その点で、区内の子どもの状況把握が欠かせません。区は「これまでも子育て支援サービスをはじめとしたさまざまな領域で、支援の拡充や所得に配慮した利用者負担を行うことなどにより、課題を抱える家庭の状況を把握してき(た)。これにより、必要な支援が適切に行われるよう、施策を展開してきている」と述べてきました。相談事業の充実や子育て関連の施設や施策実施のなかで実態を承知することもあるでしょう。しかし、表面化しにくい面もあります。子育てに係わる事業の申請時だけにとどまることなく、子どもの貧困の実態調査を実施していくことが必要ではないですか。見解をうかがいます。

 子育て支援を目的に、国保に加入する18歳未満の多子世帯の均等割の軽減についてうかがいます。
 国民健康保険の保険料は、応能割である所得割と、世帯員の人数に基づいた均等割を合算して保険料額を定めています。しかし、他の被用者保険は均等割負担を求めていません。それゆえ、多子世帯の国保料が高くなっています。第1回定例会本会議でも同様の質問をさせてもらい、その際「平成30年度の保険料率の算定に当たり…、所得割と均等割の賦課割合について、均等割を低くすることで、低所得者と多子世帯の保険料負担に配慮したい」とのご答弁でした。今年度から、多子世帯の国保料の減免にふみ出す自治体が各地で出てきています。「国保の都道府県化」のもとでは、「地方単独の保険料軽減に充てる「法定外繰入は“解消すべき繰入”と扱われますが、国保法の規定にそった「保険料の減免に充てるため」の繰入は“続けても良い繰入”に分類されています。国保法第77条は、被保険者に被災・病気・事業の休廃止などの「特別な事情」がある場合、区市町村の判断で保険料を減免できることを規定しています。この規定を活用し、多子世帯を「特別な事情」と認定することで、負担軽減をはかることの検討をしてはいかがですか。うかがいます。

(2) 待機児童解消について

 はじめに、今年4月1日の待機児童数は何名だったのか。昨年度と比べてどうであったのか。うかがいます。

 区がすすめた区有施設・公有地の活用による待機児童解消緊急対策における保育施設整備、いわゆる認可外区立保育施設についてうかがいます。この区立保育施設は、中野駅を境に北部地域に7か所整備されました。家から離れている。通勤で利用する駅から遠い。就学前まで通年で通えない。などの保護者の声を聞きます。整備にあたっては、公園を一時閉鎖する。園舎整備のため公園の樹木を伐採した。住民・利用者からの反対や見直しの意見があったにもかかわらず強行をしました。しかし、結果は5月時点で約3割程度の入所にとどまりました。緊急対策として区立保育施設の整備そのことは止むを得なかったと思いますが、余りにも検討が不十分だったのではないでしょうか。区はこのたびの結果をどのように受け止めていますか。うかがいます。

 待機児童対策は、認可保育園の増設を基本にすすめることが必要です。そのために、1つは保育園の整備場所を、区が責任を持って提供・誘致することが有効であると考えます。廃校となった旧小中学校の一部を活用した増設や上高田4丁目都営住宅の公園予定地での増設。また、現在、民営化に移行するため仮園舎として使用している民間委託の保育園の場所についても、移行後、保育園増設に活用することを検討してはいかがでしょうか。

 2つ目に、保育士不足を解消するために、いっそうの保育士への処遇改善支援を実施することを求めます。ご答弁ください。

 区立保育園の民営化についてうかがいます。
 区長は全園民営化の方針を見直すことを明言しました。我が会派として再三述べてきましたが、今日の民営化は待機児童解消に逆行します。区は「1園当たりおおむね10人程度の保育定員の増加が図られる見込み」と言いますが、待機児童の多い0歳児~2歳児の定員枠はさほど増えません。区は、民営化に人員を割くよりも、待機児童対策の強化にこそ人員を割くべきです。区立保育園を残すのであれば、退職不補充を改めて、区職員として保育士を採用することが必要です。新卒採用であれば人件費を圧迫することにはなりません。現に、2015(平成27)年度から3年間は新規に区保育士を採用してきました。
 区立保育園の民営化は一度ストップして、待機児童解消を最優先とした保育行政をおこなうべきではないですか。うかがいます。

(3) 区立幼稚園について

 区長は施政方針説明の中で区立幼稚園について「存続させ(る)」ことを明言されています。
 先日、会派で区立かみさぎ幼稚園と区立ひがしなかの幼稚園を視察させていただきました。学級編成は、3歳児・4歳児・5歳児クラス。3年保育を希望する保護者が多いのが現状です。かみさぎ幼稚園では、71名の幼児数に対して、特別な支援を必要とする幼児は18名、ひがしなかの幼稚園では、73名の幼児のうち4割を超える幼児が対象であるように、特別な支援を必要とする幼児がたいへん多く通っています。区立幼稚園の存在が欠かせない理由の1つがここにあります。
 改めて、区立幼稚園の役割についての見解を求めます。

 来年度から区立幼稚園における幼稚園型一時預かり事業が実施されます。預かり時間は14時~17時を予定し、通常の幼児教育(保育)時間後の実施になるかと思いますが、人員体制の強化が必要となるのではないでしょうか。うかがいます。

(4) 児童館と学童クラブについて

 区長は、児童館の全館廃止に反対を表明し、存続を求めて選挙戦をたたかわれました。多くの子育て世代、子どもたちから歓迎されたと思っています。
 施政方針説明では、「児童館の全廃についても見直し、…一定程度存続させ(る)」と述べられました。中野区では、以前は1小学校区に1児童館という構想のもとで、児童館が配置されていました。キッズプラザを小学校内に整備することで、児童館廃止とU18プラザへの転換がすすめられてきましたが、その後、U18プラザについても廃止となりました。地域で望まれている施設をなくしてしまうことには、やはり問題があります。
 中野区で子育て中の保護者で構成する子育て環境向上委員会という団体が、「『子育ての悩み』どこに(誰に)相談してましたか?」という「子育て世代へのアンケート調査」の結果報告書をまとめています。報告書のなかで、「ママ友(パパ友)」に次いで、「児童館(職員や相談員への相談)」が多かったことがわかります。児童館の仲間づくり事業でママ友ができたという声も多かったとの記述もありました。
 子育て支援の拠点として、地域にバランスよく配置し、機能も充実していく必要があるのではないでしょうか。「一定程度存続させ(る)」と言いますが、どのような構想をお持ちなのでしょうか。うかがいます。

 また、中高生の居場所づくりも必要です。現在、中高生に対しては、活動発信応援助成を実施して、中高生の活躍機会、発表機会を増やす活動を応援しています。この事業を続ける上でも、中高生の活動拠点は欠かせないと思います。
 中高生の居場所としては、どのような構想をお持ちなのでしょうか。また、施設配置や運営にあたっては、ぜひ中高生たちの参画を促してほしいと考えますが、答弁を求めます。

 学童クラブについて、お聞きします。
 学童クラブの待機児童数は、今年の4月時点で80名。この事業においても待機児童の解消をはかることが求められています。個別に要件を把握しながら入所を決定しているとは思いますが、新3年生が退所する事態が生まれていることや、キッズプラザ併設の学童クラブにおいては、キッズプラザを代替場所として利用していることを聞きます。しかし、学童クラブは、放課後に保育が必要な児童の生活を保障する役割があります。学童クラブの質を確保しながら、待機児童解消をはかることを求めます。
 今後どのように待機児童を解消していくのでしょうか。うかがいます。

 この間、学童クラブの待機児童対策として、民設民営による増設がおこなわれてきました。現在、全ての学童クラブが民間事業者による委託により事業が行われています。区が「運営ノウハウを保持し、民間事業者に対する適切な指導・評価を行う」ためには、また、適切な支援を行うのであれば、学童クラブ事業においても直営での運営が一定程度必要ではないでしょうか。新たに増設をしていく際には、直営での学童クラブ運営の実施を検討されてはいかがでしょうか。うかがいます。

 また、学童クラブ保育料について1点うかがいます。
 学童クラブの在籍児童で、2人以上の児童が在籍する世帯があります。現在、学童クラブ保育料は1人4400円。おやつ代1250円が加わると5650円になります。兄弟で在籍すれば1万円を超える負担です。子育て支援の観点から、2子以上の児童が在籍する世帯に対して、学童クラブ保育料の減額の検討を求めますが、いかがですか。うかがいます。

(5) 子どもの権利条例について

 区長は、選挙のさなかに「子ども権利条例の制定」について言及されました。
 日本において「子どもの権利条約」を発効したのは、1994年5月です。それから24年と四半世紀近くが経過しましたが、子どもたちをめぐる状況の厳しさは、いまもなお続いていると言えます。
 子どもは、小さいときから人間として扱われることを通して、かけがえのない存在として、人間としての尊厳と豊かな個性を持つものとなります。子どもの権利条約は、子どもの「人格の完全なかつ調和のとれた発達」に向けて、子どもの権利が「子どもの最善の利益」を考慮して、子どもをとりまくあらゆる場において実現されることを求めています。そのために、第一に、子どもが保護の対象・客体であるだけでなく、何よりもまず権利の主体であり、しかもその権利を子ども自らが行使することができるとの立場に立っています。条約を貫くこの基本的思想は、条約の随所にあらわれていますが、とりわけ、「自己の意見を形成する能力のある子どもは、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利」を認めて、子どもに意見の表明の権利を保障している点に端的にあらわれていると思います。
 国連の子どもの権利委員会においては、法制度や運用だけでなく、子どもたちがおかれている現実が具体的にどれだけ変わったのかが厳しくテストされ、審査されることになっています。子どもの権利員会からは、日本政府に対して、幾度となく勧告が出されています。
 そこでうかがいますが、子どもの権利条例の制定にあたっては、いかなる考え方や方法ですすめられようとしているのでしょうか。中野区の教育や子育て施策に、どのような形で生かされていくとお考えですか。
 また、例えば、他市で実施しているような子どもの権利状況の改善を図るための制度(子どものオンブズパーソン)を設けることも検討されてはいかがかと考えます。答弁を求めます。

3. 高齢者施策について

(1) 地域包括支援センターについて

 区長は、すこやか福祉センターの機能の強化について言及され、8か所整備の考え方については再検討することを述べられました。
 先般、地域包括支援センターについては、区が整備しようとしている8か所のすこやか福祉センターに併設する考えであることが報告されていました。超高齢化がすすむ中で、地域包括支援センターが区内8か所で足りるのかという議論があります。同時に、現在はすべての地域包括支援センターが委託業者により運営されています。2006年の介護保険制度改正によって地域包括支援センターの設置が義務付けられましたが、現在の8か所以外で、当初のように区直営の基幹型地域包括支援センターの設置が必要ではないでしょうか。うかがいます。

(2) 「地域共生社会」について

 厚生労働省に設置された「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」がいうところの「地域共生社会」とはいかなるものでしょうか。「地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」としています。理念的に同意できる部分はあります。しかし、国や自治体の責任を曖昧にし、地域住民に地域生活課題解決の責任を丸ごと丸投げするようにも受け取れます。
 シドニー・ウェップが著した『防貧策』は、社会福祉領域における公私関係論を論じた歴史的著作といわれています。同書においてウェップは、「新たな支援方法を常に追求し、困難な事例に対しても愛情に溢れたケアを心がけ、・・・民間部門が、公的機関だけによって実施される比較的低水準のサービスを上回るサービスを実践・実施することで、結果的に公的サービスにおける健康で文化的な水準を押し上げる効果があると指摘しています。これを「繰り出し梯子理論」といいますが、ここには現代に通じる示唆があると考えます。
 地域における住民協働の運動・実践が、公的サービスを上回る内容を有することがしばしばあります。この住民共同の運動・実践が、私的サービスを公的サービスに昇華させる流れが、あたかも繰り出し梯子が伸びるように見えることから、そう命名されました。
 例えば、介護保険における訪問介護事業は、1956年に長野県で制定された「家庭養護婦派遣事業」を端緒として自治体に広がり、1963年に老人福祉法に「老人家庭奉仕事業」として法定され、介護保険法では8条2項に明記された。保育運動においても同様の状況がありました。 現在政府がいう「地域共生社会」は、社会保障などの公的サービスを縮小したところに、その代替として地域住民に地域解決責任を負わせるものであり、住民共同の運動・実践とはまったく異なるものです。
 確実に超高齢化社会が到来するもとで、国の責任とともに、特に影響の大きい高齢者分野における住民共同の社会の実現に向けた、区の公的責任の発揮、専門性に裏付けられた支援が欠かせないと考えます。見解を求めます。

4. 震災対策について

 施政方針説明で、「木造住宅の耐震補強工事への助成制度の創設」に触れられました。実効性のある制度にしていくことが欠かせません。他区においては、制度はあるが耐震化が期待した程すすんでいないことも報告されています。助成制度の要件をどのように設定していくかなどは、検討が必要になってくると考えます。
 現在、中野区の木造住宅の耐震化率は、86.9%です。目標は平成32年度までに95%。平成37年度までに100%を目指すことにしています。
 木造住宅の耐震補強工事の助成については、実効性のある制度の創設とするためにも、制度設計のところから関係者を含めての検討を求めますが、いかがですか。うかがいます。

 ブロック塀等の安全性確保について。
 大阪北部地震では、学校のブロック塀の倒壊による痛ましい事故がありました。国も全国の自治体に点検を指示し、東京都からは、教育庁地域教育支援部義務教育課長名で、区市町村教育委員会あてに「学校におけるブロック塀等の緊急点検等について」という依頼文書が出され、点検結果について報告をすることになっています。
 学校や公共施設にあるブロック塀等の点検は可能であり、耐震性や安全性を確保するための措置はできます。一方、民家のブロック塀等についての安全の可否は困難です。しかしながら、倒壊等による事故を防ぐと同時に、避難路の妨げにならないことも求められます。東日本大震災の際には、区内の狭隘道路においてブロック塀が倒壊し道路を塞いでしまった状況がみられました。 現在、区では生け垣助成を実施していますが、2014(平成26)年度から2016(平成28)年度の3年間で申請は10件とうかがっています。ブロック塀等の撤去が思うようにすすんでいないのが現状のようです。
 そこでうかがいますが、2002(平成14)年度以前まで実施していたブロック塀等の撤去への助成について検討してみてはいかがですか。答弁を求めます。

 阪神・淡路大震災、東日本大震災では、電気器具の転倒による火災や停電後の電気復旧時に火災が発生する通電火災が多発しました。震災時に電気が原因となる火災対策に効果的とされるのが感震ブレーカーです。
 区長は、施政方針説明の中で「木造住宅密集地域への感震ブレーカーの普及などにも取り組(む)」と述べられました。現在、中野区では、感震ブレーカーの設置を希望する区民には、あっせんをしていますが、実績件数は芳しくありません。
 木造密集地域である、東京都が調査・報告で示した建物倒壊危険度ランクの高い地域などは、緊急的な安全対策が求められます。きめ細かな普及・啓発が大事になっていると思われますが、どのように普及をすすめていくのでしょうか。
 また、まずは災害時要援護者への支援として高齢者や障害者のみ世帯に対して、感震ブレーカーの助成を実施してみてはいかがですか。うかがいます。

 家具転倒防止器具の取付助成について。
 現在、中野区では高齢者及び障害者等の災害時要援護者の方の安全確保をはかるため、家具転倒防止器具の取付工事を無料で行なっています。地震が起きるたびに、家具の転倒防止設置の必要性が強調されています。
 東京都からは、器具の取付けに対して包括補助対象事業として2分の1の補助が出ることになっていますが、器具の取付けだけでなく、器具代についても補助が出る事業です。ところが中野区では、家具転倒防止器具の代金は自己負担になっています。
 ここでも安全性を確保するための家具転倒防止器具の設置をすすめていくための普及・啓発が大事になっていますが、同時に、器具代の補助についても検討してはいかがですか。うかがいます。

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