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議会報告
REPORT

11.28

2023年 第4回定例会 本会議・一般質問 2023/11/28 いさ哲郎

2023年4定一般質問

 

 2023年区議会第4回定例会 本会議において、日本共産党議員団の立場で一般質問いたします。なお、通告の5.文化芸術施策について は、次の機会の質疑とさせていただきます。

 

1. 介護保険について (4問)
 最初に、介護保険についてお聞きします。東京商工リサーチによる2022年の調査では、介護事業者の休廃業・解散は495件、倒産件数は143件と過去最高となっています。介護人材不足と競争激化、コロナ禍以降の利用控え、物価高騰などが理由となっていますが、合計で638事業者がこの1年でいなくなったということで、深刻な事態です。
 公益財団法人「介護労働安定センター」の2022年度の調べでは、介護事業所の約8割でヘルパー不足、9割が実際の採用は難しいと回答しています。離職者の増加と人材不足が同時に進行し、人材の取り合いになっていること、事業所としても人は増やしたいが報酬が低いことからこれも厳しいと、全方位で行き詰まった様相となっています。厚生労働省は、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人の介護職員を追加で確保する必要があるとしていますが、こうした実情から見通しは非常に厳しいと言わざるを得ません。

 

Q1.区内の介護事業者からは、この間さまざまな加算の措置が行われたが、そうした応急措置を続けるのでなく、本則の介護報酬そのものを上げてほしいとの根強い要求があります。加算そのものは介護事業所運営の助けにはなっていますが、事務負担も課題で、少なくない事業所で行政書士に手続きを依頼するなどの対応を取らざるを得なくなっています。
 加配を増やすのでなく介護報酬の本則を変えること、この点について区の認識を伺います。

 

Q2.介護人材についても伺います。政府は、来年2月から月額6000円程度の賃上げを行うとしています。介護業界はもともと他の業界に比べて低賃金であり、物価高騰も加味すると月額6000円の賃上げでは到底足りません。介護離職を防ぎ、介護人材不足を本気で解消するためには、思い切った賃上げが必要になります。介護利用料にはねかえらないよう公費負担を増やすことと合わせ、実情に見合った介護労働者の賃上げを国に求めていくことについて、区はどのように考えているでしょうか。

 

Q3.厚労省は3年ごとに介護事業者の経営状況について調査をしています。直近の調査で、特養など施設系介護事業者の利益率が、統計を取り始めた2001年以来初めて赤字になったとの報道がありました。光熱水費や水道代などの高騰が原因であると厚労省は分析しています。中野区はこうした施設に対し物価高騰の支援を独自に行っており、評価します。
 大事な支援策ですが、この中野区の対策の結果、区内事業者の経営にどのくらいプラスの影響があったか、定量的に測れている訳ではありません。先の見えない物価高騰の中、介護事業者にもう余力がないことは倒産件数に表れています。利用者にもその家族にも余力はありません。
介護事業者に対し、引き続き聞き取り調査などを行い、区でできる支援策をさらに厚くしていくべきではないでしょうか。伺います。

 

Q4. 8期の計画においては、区は介護保険料を据え置きとしました。3年前のその時点から、経済の状況、区民の暮らしの状況はさらに悪化しています。現時点で来期の介護保険料は示されていませんが、現在の介護給付費準備基金残高は約28億円となっており、7期三年目の2019年と同じレベルになっています。基金を活用して、9期の計画においても最低限据え置きはするべきではないでしょうか。また、この基金残高の取り崩し次第で介護保険料を下げることができるのではないでしょうか。併せて伺います。

 

この基金については、ここまでのため込みができるのは介護保険料の見通しが過大だからではないか、とこれまでも指摘をしてきました。とりすぎた保険料はため込まず利用者に還元すべきです。介護サービス利用者を支える適正な制度運用を求め、次の質問に進みます。

 

2. 教育について (6問)
 教育について伺います。まず包括的性教育についてです。
(1)包括的性教育について
Q1.子どもを守るために必要なのは、早い時期からの包括的性教育です。私の過去の質疑でも、日本には性的コンテンツがあふれており、そうした誤った性の情報に触れる前に、教育により子どもを守るべきと訴えてきました。子どもの性被害を防ぐとともに、加害者にしないことも肝要です。こうした、早期の包括的性教育の必要性の認識について改めて伺います。

 

Q2.現在中野区では、区立の小学生中学生に対し、どんな授業の中で、どの程度の頻度で、性教育を行っているでしょうか。また、教職員にはどんな研修やフォローの体制があるのでしょうか。これもお聞きします。

 

Q3.包括的性教育を推進するにあたって、保護者も一緒に学ぶ、ということが必要ではないでしょうか。これまでも、野方児童館での「子どもの性教育について考える情報交換会」や、里親登録されている皆さんを主な対象とした「乳幼児からの性教育」などの企画が開催されてきました。
 男女共同参画センターの情報誌「アンサンブル」の44号は 『おうちでのジェンダー・性教育』 というタイトルで、保護者がどのように性教育に関わっていくのか、という内容でした。ここには、保護者の声として、自分自身に十分な知識がないことや、異性の子どもに対して性の問題は話しにくいといった具体的な悩みも寄せられています。こうした声に応えるためにも、中野区が主導して、保護者に対する学びの場をさらに推進していく必要があるのではないでしょうか。日中働いている保護者のためには夜の時間にZOOMでのリモート参加も可能にするなど、参加のハードルを下げ、間口を広げるさらなる努力が必要になります。告知の方法なども工夫の余地があるかと思います。この点について伺います。

 

Q4.性教育はリアルタイムで情報が新しくなっている分野の一つではないでしょうか。時代の流れに学習指導要領が追い付いていないこともあり得るかと思います。性犯罪の多発から法制度が変わるようなケースもそのひとつです。
 今年7月、性犯罪に関する刑法の改定が行われ、性犯罪の規定が変わりました。16歳未満の子どもに対して性交等わいせつな行為をすると「不同意性交等罪」や「不同意わいせつ罪」として処罰されます。この法改定で法務省は、小学生、中高生及び大学生を対象としたリーフレットを3種類作成しました。内容は、それぞれの年齢層に合わせ漫画で性犯罪の実例を紹介し、相談先の電話番号とQRコードも記載されています。このリーフレットは、法務省から11月7日に東京都へ送付されているものの、活用方法についての連絡等はまだないとお聞きしました。都からの連絡を待たなくとも、リーフレットの活用はできるのではないでしょうか。配布して持ち帰って保護者と一緒に見てもらう、学校内に貼り出すなど、中野区立小中学校の性教育の中で活用することはできないでしょうか。伺います。

 

 包括的性教育を推進するうえで、学習指導要領における「はどめ規定」がネックになるといわれています。「はどめ規定」とは、教育の中で「性交そのもの」を扱えないとする規定のことです。しかし2020年の臨時国会の中で、文科省 初等中等教育局長は、「はどめ規定そのものは、決して教えてはならないというものではない、学校において必要があると判断する場合に指導したり、あるいは個々の生徒に対応して教えるということはできる」 と答弁しています。
 したがって、越えられます。中野区と教育委員会が、こうした立場で、包括的性教育の積極的な推進へと踏み出すことを求め、次の質問に進みます。

 

(2)教職員不足の対策
 教職員不足の対策についてお聞きします。日本全国で、深刻な教職員不足が起きていることはこの間さまざまなメディアで報道されているところです。教職員不足の一番の原因は、教職員の働く実態にあります。長時間労働をなくし、教職員が教育に専念する環境を整備するための抜本的な教職員の待遇改善が求められています。
 労基法に基づく8時間労働を実現させるための抜本的な定数改善の計画とすること、そのために不要不急の業務を削減すること、部活動顧問の強要をなくすこと、非正規の教職員を正規採用することなど、日本共産党として政府に対し具体的な改善提案を行っているところです。
 本来はこうした根本的な改善により教職員不足を解決するのが筋ですが、ここでは、中野区が「今」取り組める改善について、おたずねをします。

 

Q1.中野区では、「週あたりの授業のコマ数削減」 の努力をされているとのことです。減らした授業のコマ数は、始業式や終業式の日にも授業をする、年間のコマ数の余剰分も使うなどでまかなっています。こうした、週あたりの授業のコマ数を減らすことは、教職員の負担を軽減することに直結します。さまざまな研修や授業の研究、先生同士で話し合う時間など、必要な時間を確保することが可能になります。教職員の待遇改善を進めるため、もうひとまわり、週あたりコマ数を削減する、ということは検討できないでしょうか。

 

Q2.中野区では、子どもの学力向上のため、3年の任期付き職員を採用しています。こうした任期付き職員が不足する教職員を補っているとも聞きますが、その任期付きも見つからない、というのが現状とのことです。
 こうした任期付きの教職員については、定年して退職済みの元職に活躍してもらうケースが多いとのことですが、茨城県守谷市では、子育てで退職した女性教職員にも声をかけているとのことです。中野区にも、こうした子育てがひと段落した元教員がいるのではないでしょうか。子育てを理由として退職した元教員に積極的に働きかけるのはどうでしょうか。
 また、守谷市の場合は、こうした任期付き職員の採用について任期は3年ではなく5年としているとのことです。とりわけ年齢の若い教職員では、過密労働により退職することもあると聞きます。定年前の退職でも、燃え尽きのような恰好で過密労働から逃れるように辞めていく方もいると聞きます。しかしそうした退職ずみの元教職員の中には、1,2年すると再び教育の場に戻ることを考えるケースもあるそうで、正規職員ほどの時間的拘束は無くそこまでの責任は負わなくていいが、5年という期間その身分が保証される、という働き方で噛み合うケースもあるのではないでしょうか。こうした採用方法について検討はできないでしょうか。

 

3.自転車駐車場について (3問)
 次に自転車駐車場についてお聞きします。
 中野駅周辺に一時駐輪場を作ってほしいという近隣住民の要望は少なくありません。改定された中野区自転車利活用計画には、ただ駐輪場を増やすことだけでなく、小規模な駐輪場を点在させることなど、これまで議会で訴え求めてきたことが盛り込まれており評価します。この自転車利活用計画に沿っていくつか伺います。

 

Q1.利活用計画の第4章、実施施策の中の「自転車の多様化に合わせた整備」のところに、『電動自転車・親子自転車・子ども用自転車・シェアサイクル等、多様な車両に対応した設備の改善を進める』とあります。現実的な対応として歓迎しますが、多様な車両に対応するには平置きの駐輪場や自転車ラックのようなものが必要になるはずです。区はこうした駐輪場の整備や改善についてどのような考え方を持っているのか伺います。

 

Q2.計画の「取り組み内容」の中に、「民間自転車駐車場の整備促進」とあります。この点では、既に報告されている「みんちゅうShare-LIN」の連携事業が始まったところです。どのような場所で展開していくのか、この先の見通しはどうなっているか、伺います。

 

Q3.みんちゅうShare-LINの仕組みを使って自転車を停める場合には、システムそのものに対する登録と、空き駐輪場を探して「どれだけの時間使うか」という使用時の登録の二つのステップが必要になります。特に、使用の際の登録については、買い物等で「今その場所に停めたい」というような一時利用のニーズにそぐわない場合もあると考えます。
 計画の「取り組み内容」のところには、『駅周辺の未利用地や道路空間の活用』と記載があります。一時駐輪のニーズを満たすための、みんちゅうのサービスの次の取り組みについては検討しているのでしょうか。

 

 近隣の新宿駅や代々木駅には、街道沿いに自転車ラックが点在しています。一か所10台程度、もしくはそれ以下の駐輪場が並んでおり、自転車を利用しやすい環境が保証されています。中野区では、幹線道路であっても歩道が狭い場所が多く、こうした条件に見合う場所は現状ではまず見当たりません。他方、中野駅周辺まちづくりの計画の中で新たに整備される道路などには、そうした歩道の自転車ラック設置の可能性があると考えます。
 現在のまちづくりの方針の中では、基本的に中野駅周辺には自転車を流入させないとしています。こうした考え方を改め、再開発地域の中でも一時駐輪場を敷設することを検討すべきであることも述べておきます。

 

 自転車利活用計画の中にも区民の自転車利用は57%と半数以上であることが記されています。日常的に自転車を利用されている方にとっては、駐輪場がないことは中野駅前を生活の場として利用できないことを意味します。自転車駐車場の問題は、近隣住民の日常生活と中野駅周辺まちづくりを切り離すことになりかねず、区の計画とも齟齬をきたすことを改めて指摘して次の質問に進みます。

 

4.難民・外国人の支援について (3問)
 難民・外国人の支援についてお聞きします。今年の7月29日、中野区は「難民を支える自治体ネットワーク」のキャンペーンに署名しました。この署名については第3回定例会で我が会派の広川議員が質疑をしていますが、具体的な政策について、改めてお聞きをします。

 

 難民とは、さまざまな事情により自国にいられなくなり日本に残っている人のことを指します。自国に強制送還されれば命を失うことになりかねない境遇の人もいます。例えばミャンマーから日本に逃れてきたミョーさんは少数民族のロヒンギャで、自国ではひどい迫害と差別に苦しめられていました。強制送還されれば軍に拷問され命を奪われるといわれています。
 難民の中には「仮放免」という無権利状態に置かれている人がいます。本国への強制送還は免れたものの、住民票がなく、働くこともできません。にも関わらず医療は全額自費となります。県境をまたぐ移動では入管の許可が必要です。家族連れでこんな境遇に置かれる難民もいます。これでは、自力ではどうすることもできません。

 

Q1.こうした難民の実情について、日本ではあまりに知られていないと感じます。日本にいる難民の方ひとりひとりが、ミョーさんのようにそれぞれ自国に帰れない事情を抱えています。そもそも日本には、国籍を問わず、外国人全般に対する偏見がすくなくありません。ましてや「難民」となると、正しく知られていないことによる偏見がどうしても強くなります。
 この度のキャンペーン署名をきっかけに中野区ができることの一つが「区民への周知」です。中野区が毎年行う「平和のつどい」の中で「難民を支える自治体キャンペーン」のセレモニーを行ったのは、区民への周知という点で重要でした。周知という点で私からも具体的に提案をします。
 UNHCRのアクションの中には、民間企業・大学・市民団体とのコラボなど、様々な団体との連携が示されています。既に明治大学とは多文化共生フォーラムなど、在住在勤の外国人の理解のための取り組みで連携しています。こうした、大学や団体などとの協働で、難民を正しく知るための機会を検討してはどうでしょうか。

 

Q2.宗教食についても伺います。「中野区立小中学校給食調理業務委託」の仕様書の別紙2-2、「調理業務の詳細」というところには、食物アレルギーや宗教上の理由等の配慮の必要な児童・生徒の給食については、<調理業務手配表に沿って、学校栄養職員等からの情報等をもとに除去食や代替食など適切に対応すること> と記載があります。
イスラム教では豚、ヒンドゥー教では牛が禁止されているのは有名ですが、厳しい場合は五葷(ごくん)という にんにく・玉ねぎなど5種類の根菜も禁止です。大乗仏教やジャイナ教、一部のキリスト教系宗教の中にも食べられないものや忌避されるものがあります。出汁や調味料などに入っていてもダメなこともあり、丁寧な対応が必要です。中野区では、こうした宗教食について、現在どのような対応となっているか伺います。

 

Q3.ヘイトスピーチについてもお聞きします。2023年の現在でも、ネットを中心に間違った情報が拡散され、外国人や難民への差別が横行しています。こうした状況を変えるためにも、行政からの発信で差別を打ち消す努力が必要だと考えます。
 私が最初にヘイトスピーチを質疑で取り上げたのは2017年第1回定例会です。区役所内とともに、区民活動センターなど区有施設でも法務省作成の「差別を許さない」というポスターの掲示について質疑してきましたが、この機会に改めて広範な掲示を求めます。いかがでしょうか。また、人権週間に合わせてこうした打ち出しを強めていくなど、さらなる取り組み求められていると思いますがこの点はいかがでしょうか。

 

第3回定例会での質疑でも取り上げましたが、100年前の関東大震災ではデマによる虐殺があったわけです。虐殺の事実はさまざまな公文書や私文書で明らかになっているにも関わらず、事実を認めず歴史を修正しようという試みがネット上では後を絶ちません。いたちごっこの体をなしていますが、だからこそ正しい情報を発信することをやめるわけにはいかないのではないでしょうか。  
 望むと望まざるとにかかわらず、経済的にも文化的にもグローバル化は避けがたいのが現代社会です。どこの出身者であろうと、どの国のどの民族の人であろうと、差別なくともに生きる仲間として迎える社会を作っていく必要があります。多文化共生を掲げる中野区がその先頭に立つことを求め、すべての質問を終わります。

 

 

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