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日本共産党中野区議会議員団

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議会報告
REPORT

06.28

2022年 第2回定例会 本会議・一般質問 2022/6/27 小杉一男

 2022年第2回定例会本会議において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。質問内容は通告通りです。その他の項はございません。

 1. 子ども・若者への支援について

 ① 中野区子どもの権利に関する条例を生かすことについて
 今年3月に子どもの権利に関する条例が制定され、4月から施行されました。これらは区長の公約として掲げられ、それが実現したものです。施政方針説明でも「(同)条例に基づき、子どものセーフティネットを強化するとともに、子育て・子育ち環境や地域全体で子育てを応援するための体制を整備してまいります」と触れられています。
 6月には子どもの権利委員会の審議が始まり、傍聴しました。委員の方々が熱心に議論を交わし、心強く感じました。そのうえで、いくつか伺います。
 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが3月に小中高の教員を対象に調査したところ、子どもの権利について「まったく知らない」「名前だけ知っている」が30%もおられたそうです。まして子どもたちを含めた多くの区民にまだ知られていないと思われます。
 ○ 区は子どもに本条例の理念や内容をどのように知らせていくおつもりですか。また、区は区民や育ち学ぶ施設及び団体、事業者に本条例の理念や内容をどのように周知・啓発していくことを見通していますか。

 同条例前文や各条文では、子どもを単に保護され、守られるのみの存在ではなく、力ある存在、「声」を発することができる存在に位置づけています。そして、子どもの「意見表明権」とは「意見を言ってもいいということ」で、「聞いた『声』にちゃんと応答する」ということです。その結果がいかにあろうとも、そのプロセスを生かすことが重要です。児童・生徒個々人の個人の尊厳が保たれること、多様な人格を認め合うこと、その結果として良質な教育環境が整うと考えます。
 11月20日は中野区子どもの権利の日となりました。区民をはじめあらゆる子ども子育ての団体が集まり、企画運営し、子どもが主体的に参加でき、子どもの権利の日にふさわしいものとなることを期待しています。
 ○ 区は子どもの権利の日の催しについては子どもや区民の参加について、どのように考えていますか。

 「(仮称)子どもに関する総合計画」については、川崎市など他自治体の取り組みを見ると、計画を策定し、その後も具体的な計画を立て、検証・評価を継続していくのはとても重要なことです。子どもも主体的に参加できるように進めていただきたいと考えます。
 ○ 区は「(仮称)子どもに関する総合計画」の策定までに子供を含めた区民の意見をどのように盛り込もうと考えていますか。

 同条例では「だれ一人取り残すことなく、すべての子どもが幸せに生きていけるよう子どもの権利を保障」し、子どもが「国籍、人種、民族」などで差別されないとしています。
 文部科学省は2019年3月に「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握について」との通知を出し、不就学状態となっている外国人の子どもの就学漏れをなくすよう示しました。それらを受けて、区は20年度に、外国人の子どもの実態調査を行うことを予算化しましたが、新型コロナの影響で未執行となりました。
 現在、中野区内には外国人の小中学校対象年齢の児童・生徒が411人います。そのうち、義務教育諸学校に298人が、外国人学校に50人が通っています(転居・出国10人)。そして、就学状況が把握できない児童・生徒が53人もいます。
 ○ 区は外国人の子どもの就学の状況などを確認しているのでしょうか。

 現在、区は住民登録がなされた、小学校1年生と中学校1年生の入学前の対象年齢の外国人の子どもに就学案内を送付しています。それを踏まえて区立小中学校の「就学願」、それ以外の義務教育諸学校の「現況申出書」が保護者から提出され、「学齢簿」が記載され、就学の状況が把握されます。しかし、就学状況が把握できない外国人の「学齢簿」は作成されているものの、就学状況の詳細は把握できていないのが現状です。
 私は中野区に暮らす子どもたちが国籍の如何に関わらず、教育をきちんと受けられるように支援していくべきと思います。
 ○ 区は子どもの権利条例や文科省の通知の趣旨から、就学漏れをなくす努力をいっそうにすべきと考えますが、いかがでしょうか。また、実態調査を行うべきではないでしょうか。

 外国人の対象年齢の子どもが中野区立小中学校に入学する支援をする事業も行われています。日本語の理解が十分でない外国人の幼児、児童、生徒等が在籍する学校に、1人あたり80時間を上限に、日本語指導員または通訳者を派遣する「日本語指導員等派遣事業」があります。公私立の小学校に通う298人のうち51人がこの事業を利用していますが、その方々の多くが80時間を使いきってしまう状況です。
 ○ 利用したい児童・生徒がいつでも利用できるように、派遣期間など要件を見直すべきではないでしょうか。

 その他に留学生を学校へ派遣して児童・生徒の健全な育成や異文化理解の促進を図る事業については新型コロナウイルス感染症の影響により実施がされてきませんでした。

 ○ 新型コロナの状況が改善され、支援スタッフである留学生が日本に来られるようになった段階で、区はどのように同事業の活用を考えていますか。

 「外国人の子どもの就学状況等調査結果について」では、全自治体のうち17.3%が「乳幼児健診や予防接種の受診等における情報提供」をし、14.2%が「就学ガイダンス」を開催し、12.8%が「外国人を対象とした相談窓口を設置」しています。こうした取り組みが外国人の保護者や子どもたちにしっかりと情報提供され、就学につながるよう、努力していただくことを求めたいと思います。

 続いて、外国人学校への支援についてです。
 外国人学校の保健衛生環境に関するアンケートの結果、回答校の25%で保健室が設置されておらず、21%で健康診断が行われていないことが分かりました。養護教諭が65%、学校医が44%、未配置との結果でした。国も今年度に外国人学校の保健衛生環境確保に向けた取り組みを予算化しました。中野区は外国人学校保護者補助事業を実施しており、同学校に在籍する児童・生徒の保護者に、1人月額8000円を補助しています。近隣区でみると、低い金額ではありませんが、しかし、実際に保護者が負担する月額の費用は少ない学校でも諸費用含め19,000円ほどになります。
 ○ 外国人の子どもであっても、同じ年齢にある国内にいる日本国籍の子どもとできるだけ同等な教育を受けられるよう、必要な助成を考えていくべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
 東京都は2010年から都内の朝鮮人学校への「私立外国人学校教育運営費補助金」を停止しています。都内の朝鮮学校関係者らが再交付を度重なり要請しても、「知事が『都民の理解が得られない』と判断した」との返答を繰り返しています。これは国連子ども権利委員会が日本に対し、外国人の子どもであっても、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるよう、勧告をしてきた趣旨とも反します。

 ② 若者への支援について
 昨年11月末に開設した子ども・若者支援センターでは、中野区で暮らす若者を対象に相談を受け付けています。また、若者相談の時に利用するフリースペースを設置し、”ちょっと”便利で、ゆっくり過ごせる居場所を提供しています。フリースペースは6月から事業委託されています。相談は気軽にできるような工夫が必要だと思います。仕事や学校、人間関係などさまざまな悩みを抱えた若者が来られ、支援員が相談に対応されます。それらは共通性のある内容も多いかと思います。
 ○ 子ども・若者支援センターが開設して7カ月が経過しましたが、若者相談はどのような相談事例が多いのでしょうか。相談事例が蓄積されていく中で、今後の支援に生かしていくことができるものはありますか。また子ども・若者支援センターでこれまでに受けた若者相談のうち、フリースペースの委託事業者に引き継ぐケースはありますか。

 若者への支援の中で、ひきこもりへの支援が課題として取り上げられています。区では、今年度からひきこもりへの支援を社会福祉協議会に委託し、地域包括ケア会議のひきこもり支援部会も設置しました。施政方針説明では「子どもから大人まであらゆる世代のひきこもりの状態にある人やその家族への支援を充実します」と記しています。こうした取り組みを始めたことを評価します。
 ひきこもりとは、さまざまな要因が重なり合い、就学や就労、家庭外での交友など社会的参加を避け、原則として6か月以上にわたり、概ね家庭に留まり続けている状態のことで、誰にでも起こりうることです。全国では、若年無業者(ニート)は87万人、若年のひきこもりは5.4万人と推計されています。
 昨年江戸川区が実施した「ひきこもり調査」によると、対象者18万人のうちの4.4%の7919人がひきこもり当事者であることが分かりました。当事者の年代は、30歳台未満は36.2%と若者世代が一定割合おられました。18年度に各関係機関や個人に協力を求めた調査から、21年度に18万世帯を対象にアンケート調査に、2段階で実態を把握し、11.6倍の対象者が把握できました。
 ○ 区でひきこもり当事者を把握するために、実態把握を見通すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 若者支援は何を支援していくのかも考えていく必要があります。若者自身の経験や思いなどに、実践者が注目し、本人が過去の出来事を意味づけながら今どのように生きようとしているのか、若者の生きるストーリーを探求していくことが求められます。相談を受ける受け身の姿勢から、さまざまな機関の協力を得ながら、支援機関が若者にアプローチする姿勢が求められていくと考えます。
 ○ 相談を受けるなどの「要求応答型」施策から、さまざまな機関の協力を得ながら支援に結び付ける「支援機関アプローチ型」施策へステップアップしていく必要があると考えますが、区の見解を伺います。

 江戸川区調査のまとめでは、ひきこもり支援はそれぞれの立場ができる範囲で緩やかにつながり続け、必要があればタイミングよく救いの手を差し伸べることができる信頼関係を地域社会で築き上げていくことが必要であると考察しています。区の今後の取り組みに期待いたします。

 ③ ヤングケアラーへの対策について
 「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」とされる、ヤングケアラーが注目されています。ヤングケアラーが行うケアは「お手伝い」と見なされやすく、家族問題として取り上げられてきませんでした。しかし、さまざまな調査から小中学・高校生のヤングケアラーは自身の精神的健康の悪化に苦しみ、教育機会を逃し、学業がうまくいかなくなるなどの影響を受ける傾向にあるとされています。現在、子どもの権利が侵害されている子どもに必要な支援を行うことが、模索されようとしています。ヤングケアラーは試算では中学2年生の17人に1人の割合でいるとされています。
 また当事者はSOSを発信しない傾向があるのも問題です。昨年度に「こども・若者ケアラーの相談・支援窓口」を設置した兵庫県神戸市では2/3が、NHKが155自治体に行った調査では3/4のヤングケアラーが支援を拒むという実態があることが分かりました。
 区は、ヤングケアラーへの支援について、施政方針説明で聞き取りなどでの実態把握と、専門職間の連携強化・支援体制の構築で、地域で見守り実施するとしています。
 国は、新年度から「ヤングケアラー支援体制強化事業」を実施し、関係機関の連携によりヤングケアラーを早期に発見し支援につなげます。23区でも、今年度から、分析調査を行う世田谷区や港区、学校を通じて個別に把握する江戸川区、両方行う練馬区など、独自の調査に乗り出す動きが出ています。支援を拒む方を含め、ヤングケアラーを把握し、必要な支援を行い、その方をエンパワーメントさせることにつなげる必要があります。
 ○ 区はヤングケアラーの対象者の実態をどのようなかたちで把握しようと考えていますか。また、どのような支援の形態や目指す目標を考えていますかと伺い、この項を終えます。

2. 新型コロナウイルス感染症への対応について

 ① 健康診断とワクチン接種について
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大がこの2年間に続きました。その影響により区民検診等の受診は、2020年には減少となりました。区民健診では国保健診、長寿検診、健康づくり健診など受診率が下がりました。一方で、新型コロナワクチンを除くワクチン接種は子どもや高齢者でもあまり影響は見られませんでした。
 ○ 区は21年度における区民検診の受診やワクチン接種の状況について、どのようなものと見ていますか。

 新型コロナウイルス感染症の感染状況の影響が引き続きあると予想されます。感染対策を十分に行うことはもちろんですが、疾病の早期発見と治療、感染症の予防が果たせるように受診や接種は従来通り、行ってもらうように促すべきです。
 東京都のホームページでは「新型コロナウイルス感染症の不安から、がん検診や健診の受診を控えようとしていませんか?」と問いかけ、「コロナ禍でも受けよう!」と呼び掛けています。その一方で、中野区のホームページでは「今後、新型コロナウイルス感染症の感染状況により、区民健診事業が延期となる可能性もありますので、ご了承下さい」としています。
 ○ コロナ感染症の感染対策を行いつつ、現在の状況にあった呼びかけを区民に行い、区民検診の受診やワクチンの接種を促すべきではないでしょうか。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で2019年からインフルエンザの流行は抑えられてきました。しかしこの間、都内小学校での感染拡大も報道されるなど、注視していく必要があります。区民検診やワクチン接種の役割が十分に発揮されることを期待したいと思います。

 ② 新型コロナ協力金等の収入認定などについて
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する下で、中小事業者や個人事業主、フリーランスで働く人などが営業の自粛や時短を余儀なくされてきました。国や都道府県等による給付金や協力金等は、くらしと生業を支える重要な役割を果たしてきましたが、課税対象の収入となることから新たな不安が広がっています。区内の区営住宅、都営住宅に入居する飲食店経営者からは、「持続化給付金や東京都の協力金が家賃額を決める際の収入として認定され、公営住宅の家賃が倍になった。このままでは明渡しの対象となりうるという通知まで来て不安」との声が寄せられています。
 4月12日、国は山添拓参議院議員の質問主意書に対し、公営住宅の入居者及び同居者が受給した持続化給付金等の額が含まれている場合に、当該所得金額を用いて算出した収入の額が前年度の収入の額を上回ることにより、公営住宅の家賃の額が前年度の家賃の額を上回ることはあり得ると認識していると答えました。国は、「所得のうち一時的な収入」に該当するものと取り扱い、所得金額の認定に当たって当該持続化給付金等の額を除くこととすることは可能である、としました。
 コロナ対策としての給付金や協力金等は、緊急事態宣言やまん延防止重点措置等の発出、延長等に伴い営業自粛等を余儀なくされる事業者等への一時的・緊急的な支援策であり、これを「継続的収入」と扱うことは公営住宅入居者に不当・過大な負担を強いることになりかねず、収入の算定対象から除外すべきです。
 ○ 新型コロナウイルス感染症関連の給付金や協力金等は一時的な収入であるため、区営住宅の家賃を決める際の収入算定から除外すべきではないでしょうか。また、東京都に対し、都営住宅に対しても同様に判断するよう求めるべきではないでしょうか。

 中野区では、昨年度に区営住宅の使用者が申請した収入認定した440件のうち、収入超過した件数は27件でした。
 ○ 区は、相談はないとしていますが、収入超過した方の実態を把握すべきではないでしょうかと伺い、この項を終えます。

3. 生活保護制度について
 生活保護は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、生活困窮に陥った人々にとっても、重要な選択肢の一つです。厚生労働省「被保護者調査」によると、生活保護の利用者は2022年3月時点で、203万6千人、全人口の1.63%に過ぎません。世帯数は164万2千世帯です。感染拡大前の19年6月の保護人口は207万5千人、163万4千世帯だったので、比較すると世帯数が増加しているものの、保護人口は減少しました。コロナで生活保護が有効に活用されているのでしょうか。
 区では、新型コロナによって影響が出始めた2019年度から3年間の推移をみると、20年度は前年度比、相談件数と生活保護申請数いずれも2割上昇しましたが、21年度には相談件数マイナス10%、申請数マイナス14%といずれも減少しました。全国では21年1年間の申請件数(世帯)は前年から5.1%増加し、2年続けて前年水準を上回りました。
 ○ 区は21年度の生活保護における相談件数や申請件数の落ち込みについて、どのように分析し、対応を心がけてきましたか。

 3月に区が「生活保護の申請は国民の権利です」と記したポスターをつくり、区内の約170か所のお知らせ板をはじめ、区内の区立保育園や区民活動センター・地域事務所、図書館、体育館など300か所に掲示しました。また、区の公式LINEやTwitterで呼び掛けもされました。
 当時の区の生活援護課課長は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減少し、生活に困窮する方が多くでています。生活保護は、生活の立て直しをするためにあり、社会の中で必要とする人に利用されてこそ意味があります。区でも、政府が出す雇用状況や経済の統計を見て、申請数を予測しています。コロナ禍のこの状況では、もっと申請が来ていいはずなのに、予測しているような数が来ていません。本当に必要とする方に利用されていない現状があります。生活保護はマイナスなイメージもあり、相談をすることすらためらっている方もいらっしゃると思います。しかし、ためらわず、まずは相談してほしいと思います」(3月29日付「BuzzFeed Japan News」)と述べておられます。
 ○ こうした区民への周知を引き続き継続していただくとともに、生活保護を必要とする方に申請と利用へつなげる努力を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうかと伺い、この項を終えます。

4. 防災まちづくりについて
 都は、東日本大震災を踏まえ策定した「首都直下地震等」と「南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定」を10年ぶりに見直し、地域防災計画を修正しました。今回の「被害想定」の明確化によって、行政や企業、個人が具体的に何をすべきなのかを考える基礎となります。
 想定する地震で最も被害の大きいものは都心南部直下地震で、震度6強以上の範囲が区部の約6割に広がるものです。中野区の南部も一部震度6強の揺れとなります。死者6148人の想定は阪神淡路大震災と同等の被害となります。そして、避難者が299万人と想定されるのは、東日本大震災の6倍超となります。被害が長期に及ぶと災害関連死の増加も懸念されます。
 前回の被害想定から10年経過しましたが、この間、住宅の耐震化や不燃化対策などの取り組みが進展する一方で、高齢化の進行や単身世帯の増加など都内の人口構造が変化してきました。
 ○ 区においては、この10年で、住宅などの耐震化や不燃化などがどのように推移しましたか。防災・減災対策によって被害軽減は図られてきたという認識でしょうか。

 これからの10年はどうなるのでしょうか。
 中野区では2007年度から耐震改修促進計画を策定し、住宅・建築物の耐震化を進めてきました。前回16年度改定からの10年間の中間で耐震化の状況を再検証し、2026年度までの5年間の計画を今年3月に策定しました。その計画では、これからの5年間で耐震性が不十分な住宅8900棟(戸数ベースで20,121戸)を、すべて1981年に導入された耐震基準を満たした住宅にすることを目指しています。1年度でみると、耐震化すべき住棟数は1780棟のうち、建て替え・除却が1430棟、耐震診断420棟、耐震補強150棟ととても高い目標を掲げています。
 近年の建て替え棟数は700件程度に留まっています。また、住宅・建築物の所有者に耐震性を備えた住宅等にしていただくことを求めるうえでも、耐震診断や耐震補強の助成の拡充がなくてはなりません。しかし、16年度から20年度の5年間で耐震化率が4.2%上昇しましたが、建替助成や除却助成などの寄与率はそのうちの0.28%に留まっており、耐震化を進める効果が発揮されていません。また、老朽建築物の構造別耐用年数では木造住宅は築15年経過すれば老朽建築物となりますが、実際にそう認識し、建て替えようとする所有者はほとんどおられなく、行政の想定と所有者の意識はかなりのズレがあると思われます。やはり耐震化が必要と思われる住宅等に耐震診断を受けていただき、耐震補強や除却・建替えを進めていただく必要があります。そのためにも、耐震診断や耐震補強、除却などの助成制度の拡充が必要と考えます。
 ○ 耐震改修促進計画の「令和8年度までに耐震化すべき住棟数」を毎年、着実に実行していくために、どのように進めていくおつもりでしょうか。

 令和8年度、2026年度に旧耐震基準の住宅・建築物の耐震化を完了した後では、1981年~2000年までの住宅建築物に対し、新・新耐震基準にする耐震化への助成について、区としても実施へ踏み出していただきたいと思います。これからの10年で、住宅・建築物の耐震性の向上を図ることで、震災から区民の生命と財産を守り、災害に強い安全なまちとなることを期待します。
 今回の都の想定は、「身の回りで起こりうる災害シナリオと被害の様相」を示し、定量的な指標に留まらず、定性的な指標に踏み込んだのが特徴です。仮定のものであっても、発災したらどうなるのかを区民がリアルに捉えられるように発信していくことが大切だと考えます。詳細は、今後都の具体的対策を含め明らかにされていくと伺っています。区としての地域防災計画の改定や区民への周知に反映させ、区民が自分事として捉えられるように進めていただくことを要望して、この項を終えます。

5. 安全な道路交通について
 2018年10月、地域の方が警視庁野方警察署長に対し、江古田4丁目交番前交差点に信号機と横断歩道の設置を求める要望を行いました。これは11年から求めていたものです。江古田4丁目ガスト前の交差点から沼袋区民活動センター交差点まで約950㍍ありますが、信号機や横断歩道はありません。同年4月の3日間、朝、昼、夕方にのべ8時間、実態調査したところ、歩行者の横断人数は1時間当たり11.1人、自転車の横断人数は1時間当たり13.9人と頻繁な横断がありました。野方署、第三建設事務所で協議をし、住民の求めた場所と異なりますが、設置する方向と聞いています。しかし、新型コロナウイルス感染症や住民が植えた植栽などの問題で、設置が進んできませんでした。そうした中で昨年6月に道路を横断しようとした小学生がはねられた事故が発生しました。小学校に通う保護者も早期に設置されることを望んでいます。
 ○ この箇所への信号機や横断歩道の設置について、どのような関わりを持っていますか。

 昨年3月に都建設局が出した「横断歩道橋個別施設計画」によると、横断歩道橋の老朽化が進んでいます。設置後50年以上経過している横断歩道橋は、令和2年4月現在で約6割、10年後には約9割となり、今後、一斉に更新時期を迎えることが想定されます。
 横断歩道橋は、高齢者や足腰に痛みを抱えている人、乳母車を押している人などには利用することが想定されていません。街道の反対側に渡ろうとすると信号を3回も渡らないとなりません。今後、少子高齢化の進展や自動車の電動化、自転車での移動距離の延伸がされていきます。更新時期を迎える中で、そうした地域課題を踏まえた設置検討がされる必要があります。
 ○ 横断歩道橋の更新時期にあたっては、都や警視庁などと協議を進め、地域の声や課題を伝える役割をいっそう担うべきではないでしょうか、と伺い、私からのすべての質問を終えます。

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